Nicotto Town



フェイク

2003年2月〇日、ピョンヤン・高麗ホテル3215号室 -北朝鮮
 
チェックインを済ませ部屋に入った時、窓の外を見るとまだ陽が落ちるまでに
少し時間がある様だった。
 
男は窓際に立って、窓の外の夕日に映えるピョンヤン市街の景色を眺めてみる。
 
広々とした通りに通行する車はまばらで、時折、その両側のこれも広々とした
歩道を途切れ途切れに人々が黙々と歩いている。
 
その両側には、整然と同じ造りの高層住宅が立ち並んでいた。
 
右手の方角に大同江(テドンガン)を隔てて、高さ170メートルの
主体思想塔がそびえ立ち、左の方角には、近代的な外装のビル群の
さらに、その先に高さ330メートル、105階の三角形をした巨大な廃墟・・・
-10年以上建設が中断したままの柳京ホテルの姿が遠望出来た。

国の実情とはかけ離れた、繁栄を内外に示す為に造られた虚構の建築群・・・

男はツアー旅行の観光客の一人として、このピョンヤンを訪れているのだが、
彼は他の参加者とは違い、(ある特別な目的)を持ってこの国にやって来た。
(俺はこの街で果たして無事、目的を遂げる事が出来るのだろうか?)

男はその前途の多難さを思い、大きな溜息をついた。

・・・・

同年同日、バグダッド市内・パレスチナホテル・ロビー -イラク

情勢は、アメリカ軍を主体とした、この国への攻撃開始が刻一刻と迫っている感があった。

日増しに緊張が高まる中、バグダッド取材の拠点になっている、このパレスチナホテルの
ロビーで、プレスカード(記者証)を下げて、たむろしている報道関係者達も
表情が険しくなっている様に感じた。

「先日の(国連への)パウエル報告は、幼稚なフレームアップ(捏造)の
オンパレードだった。・・・戦争しか能の無いブッシュは血に飢えた吸血鬼だ!」

仏人記者が早口の英語で、忌々しそうにまくしたてた。

「アメリカは大量破壊兵器の存在にやけに自信たっぷりの様だが、
あの国の事だ。既にサウジ辺りに自前で用意してるんじゃ無いのか?」

などと言うジョークを飛ばしているカメラマンもいた。

アメリカ政府の、なりふり構わぬ強硬な態度には、国際世論を黙殺・・・
いかなる国がいかなる反対姿勢を表明しようとも、その主張を変える事無く
可決が見込めない国連の裁決を経る事無しに何としても開戦に踏み切りたい
と言う姿勢が窺えた。

アメリカ軍の攻撃が開始されれば、ティグリス川が市の中心部を流れ、500万人以上の
人口を 抱える、この都市に再び、対空砲火と爆撃機の咆哮音、そして爆弾の炸裂音が
響き渡る事になる・・・

記者達の会話を聞くともなしに聞きながら、(その男)はそんな事を考えた。

男が腕時計に目をやると、時計は日本時間の午前2時45分を指していた。

日本とこのバグダッドの時差は6時間ある。

記者達の何人かは、どうやら報道関係者では無いらしい、銀縁眼鏡の奥の
眼光が鋭いこのどこか得体の知れない東洋人の事が何と無く気になっていた。

「ミスター・オオサキ・テレフォン・・・フロム・ピョンヤン・」

不意にフロントから男に呼び出しがかかった。

周囲にいた報道関係者達は、ピョンヤンと言う都市名に特別な反応を示した。

「フー?」男が尋ねると、係員は「ミスター・キ〇・ジョンイ〇」と答えた。

記者達は、ざわめき、驚きの表情で男の方に振り返った。

「ジョンイ〇だけど、サダムそこにいる?」

受話器の向こうの声が言った。

「枝城、お前今何してるんだ?」

お笑い集団、大崎興業前総裁、大崎豊はそう言って溜息をついた。

「何か声聞きたくてさ・・・ピョンヤンのエダちゃんから、テポドン級の愛を込めて!
ドーン!ドーン!ドーン!」

受話器の向こうから、芸人、枝城2:50のわめき声が聞こえた。

「お前、まただいぶ酔っ払ってるみたいだな・・・」

「酔ってて、ごめんね。ところで、俺、明日、キ〇・ジョンイ〇を〇〇〇でХХしようと
思ってるんだ」

受話器の向こうで枝城が言った。

「馬鹿野郎!もしこれが盗聴されてたら、お前、殺されるぞ!」

大崎は思わず怒鳴った。

(全く、あいつを海外に出すと、危なくて仕方がない・・・)

電話の後、大崎は思った。

           (おわり)

(これは実話をモデルにしたフィクションです。)

参考動画

http://www.youtube.com/watch?v=4Qq3L6EY3zg&feature=related

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2012/04/27 14:05
冗談にもほどがあるってオチですか!www

オチまでのシリアス感が一気に・・・www
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2012/04/23 22:51
そよそよさん

コメントありがとうございます。

そう言えば、トルコでの一件は電波少年でしたっけ?w
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2012/04/23 22:50
紫草さん

コメントありがとうございます。

こんな大音響が連夜鳴り響いていたら、相当怖かっただろうと思います。
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2012/04/23 22:48
るるさん

コメントありがとうございます。

僕にはとても、こんな真似は出来ないです><
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2012/04/23 22:46
スイーツマンさん

コメントありがとうございます。

そうすると、最早、傀儡ですら無くなる気が(笑)
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2012/04/23 22:44
sakinoさん

コメントありがとうございます。

まあ、アラブとアメリカはいろいろと経緯がありますからね。
根が深いものがあると思います。
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2012/04/23 22:42
まゆさん

コメントありがとうございます。

元は気になった所は、実際に自分の目で見てみたいと言うのが
訪朝の目的だった様です。
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2012/04/23 00:27
電波少年を思い出しました。
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2012/04/22 22:34
 動画、見ました。
 音の凄さに、まず吃驚。

 そして、冗談では済まないぞと思う電話の内容に、私自身が引っかかっているのかと笑いました^^;

 短い中に、引きこまれるものがありました。
 それはフィクションに近いように感じるからでしょうか。
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2012/04/21 17:56
すご~い@@

かいじんさんこんな文章書くんですね~

何かスリルのありそうなお話しですね✧*。ヾ(。>﹏<。)ノ゙✧*。
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2012/04/21 14:15
パウエル氏
 退官なさったとき、
 日本の首相に
 本気で欲しいと思った時期がありました 笑
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2012/04/21 00:31
音だけ聞いてたら打ち上げ花火の音に聞こえるんですが・・・・・
アメリカとイラン仲がわるいからね~ アメリカ在住のイラン人は職にあぶれて大変だとか・・・・
お友達もそんなことを言ってましたよ^^
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2012/04/20 22:06
困難な任務って……酔っぱらって、国際電話でイタズラ電話をかけることw

しかも危険な国同士だし……



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