隠喩!?
- カテゴリ:日記
- 2012/04/30 22:18:02
アタゴオル 7
アタゴオル玉手箱篇
ますむらひろし
スコラ漫画文庫
この巻の中の「キリエラ戦記」についての感想。
大きな力を持つ「キリエラ」を巡り、ヒデヨシ達と
銀波船長率いる海賊たちが繰り広げる戦いが
描かれている。
他の一話完結の話と比べると、ブラックな内容。
ダークファンタジーは、結構好きなジャンルなので、
「キリエラ戦記」のような話は割りと好み。
これの前に読んだのが、
「アタゴオル外伝 ギルドマ」
http://randokukanso.blog79.fc2.com/blog-entry-191.html
で、こちらもブラックな内容だったが、ヒデヨシ達と
敵対する相手は「人間」ではなかったため、寓話的
な色彩が強かった。
が、キリエラ戦記では、敵対するのは銀波船長という
「人間」のため、リアルさ、というか生々しさを強く
感じてしまう。
特に印象的なのは、「キリエラ」と双璧をなす
「網樹(もうじゅ)」に取り込まれた後の銀波船長と
テンプラのやりとり。
銀波船長:(大量の土や植物を食い荒らし、独自の
生命体を生み出す「網樹」を指して)
「網樹こそ文明そのものなのさ」
テンプラ :「自然を食い荒らす網樹は必ず滅んでしまうぞ」
銀波船長:「この星の自然を食い尽くしても、網樹は
そこで滅ぶ程、未熟な文明じゃないんだ。
この星を覆いつくした網樹を母体としながら、
新しい生命循環を続けていくのさ」
テンプラ:「自然が消えても生き続けるなんて、
まるで死の文明だな」
銀波船長:「そうとも・・・。永遠に続く死の文明なのさ」
最近のニュースなどの影響を受けた上での解釈だが、
「網樹」は、どうしても「アレ」の事を連想させる。
「網樹」の動力源(らしい)ものは「熱の光」
この「熱の光」、中身は誰も知らないが、普段は街の
動力源として使っているもの。
ご丁寧に、このエネルギーを「兵器」として使えば、
一発で山を吹き飛ばしてしまうほどの威力を持って
いる、という設定。
そして「キリエラ」は、物質を形作る「旋律」を操る
能力を持つハーモニカ。
「キリエラ」
「網樹」
「熱の光」
の3つは、同じ文明が作り出したもので、その文明
自身は大昔にすでに滅んでいる。
やはり「アレ」の隠喩、としか思えない。
ラストに救いはあるものの、いつになくブラックな内容だった。
(「アタゴオル」を全巻、読んだわけではないが)
ようやく「危ない」という事に気がついたりするんですよね。
しかも時間がたつと忘れたり・・・