Nicotto Town


すべての命は水沫(みなわ)の夢


新 ドラゴン日誌 4

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ぶち切れているピーちゃんを肩に乗せた王女は、とぼとぼと歩き出した。
「姉さん、ここ何処?」
「知らない…」
二人は同時にピーちゃんを見た。
ピーちゃんは二人を睨み返したが、仕方なく言った。
「メダル広場だ」
「何するところ?」
「メダルを…△×○※∞!」
「メダルってなあに?△×○※∞って?」
「…」
「お姉さん、ピーちゃん怒ってるよ」
「そうなの…やっぱり。…ピーちゃんて、なんか…みなわに似てきたわ」
「キ!ゲッ!」
ピーちゃんが黙り込んだので、王女は牛さんに近寄って行った。
「あの、私わらしべをしたいんですが、どうすればいいかご存知?」
もちろんクリックなんて王女は知らないので、牛さんは黙ったまま。
するとそこに小さな女の子が走ってきて、王女のスカートを引っ張った。
「びっくりした~!何か用?」
「あのね…」
ちょっと言いにくそうにためらってから女の子は言った。
「私今からお母さんのお見舞いに行くの」
「お母さんって病気なの?」
「ううん。赤ちゃんが生まれたの」
「…」赤ちゃんと聞いて王女が想像したのは、卵が次々と孵っていく場面だったが、
「あなた、お姉ちゃんになったのね!」
と、正しい返事をした。
「うん!」
女の子は嬉しそうに頷くと、王女が持っている花束に目をやって言った。
「お姉さん、その花束私にくれない?」
「えっ!?」
「私、お母さんにそのきれいな花束をあげたいの」
ちょっと首を傾げたその子は、
「私ね、生まれてくる赤ちゃんは弟だって思ってたの」
王子がちょっと尻尾を振った。
「だから一生懸命これを作ったの」
と言って、女の子は折り紙で作った兜を差し出した。
「…でも、お父さんが赤ちゃんは女の子だって」
ちょっと悲しそうに女の子は折り紙に目を落とした。
「あのね、そうしたら今お姉さんがそのきれい花束を持ってて…私、お母さんと妹にお花あげたくて」
にこっと笑って大きな目で見上げられた王女は、花束をあげたい思いでいっぱいになった。
けれど、さすがの王女もピーちゃんに怒られるのがむやみに怖いので、そっとピーちゃんの様子を伺った。
「…」
何も言わずにそっぽを向いているピーちゃんを見て、
「お姉さん、いいみたいだよ」
と王子は小さな声で囁いた。
「じゃあ、これあなたにあげる。お母さんと妹によろしくね」
王女は、にっこりとほほ笑んで花束を女の子に手渡した。
何もなくなった王女の手のひらに、折り紙の兜がそっと置かれていた。

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2012/05/20 10:06
花束が折り紙の兜に!?

王女は優しすぎるんですね。

どうなるのかな!?
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2012/05/11 15:16
とめさん
王女は優しいんですが、みなわがどこまで寛大かが問題ですよね^^:
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2012/05/11 15:15
安奈さん
昼間のお話なので、ピーちゃんは活躍のしようがないんですよ(笑)
早く夜まで行かなくっちゃ!!
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2012/05/11 15:14
月野カヲルさん
ええ話やけど、どうなんねんやろ~?
「バカかおまえ!」というピーちゃんの叫びを何度聞くんでしょう…?
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2012/05/11 15:12
遊希さん
ドラゴンのわらしべ…前途多難そうです^^:
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2012/05/11 15:11
わかさん
ピーちゃんの「…ふん!勝手にしろ…」
言われてみたいです!

ピーちゃんになら言われていいわ…人間の男に言われたら、蹴っ飛ばすけど(笑)
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2012/05/11 15:06
苗採るさん

ありがとう~~~!^^v
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2012/05/08 21:18
王女は、やさしいのですね。

たまらん!
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2012/05/08 20:47
今晩は。
牛さんは、クリックしないと話してくれないんですね(笑)

今回はほのぼのといいお話ですね~(〃▽〃)
折り紙の兜、この次は何になるんでしょうか?
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2012/05/08 04:04
優しいなぁ~~ (ノД`)゜・。・ エエ話や~!
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2012/05/07 23:26
王女もピーちゃんも女の子もみ~んな優しくてほのぼのしちゃいました^^
折り紙の兜、次は何になるのかしら?楽しみにしています。
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2012/05/07 21:13
小さな女の子、王女、それぞれの優しい気持ちが、ほのぼのさせてくれますねー。
「何も言わずにそっぽを向いてるピーちゃん」もまた、たまりません。
(ちっ、しょうがねぇな…とか思ってる?とか妄想中w)
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2012/05/07 14:04
気になる~!




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