栄光なき変人たち
- カテゴリ:日記
- 2012/05/20 11:56:52
変人偏屈列伝
荒木飛呂彦・鬼窪浩久
集英社文庫
「ジョジョの奇妙な冒険」の荒木飛呂彦が選んだ
変人・偏屈者の6エピソードから成る。
取り上げられたのは次の6人。
タイ・カッブ
・・・メジャーリーグ史上、最も偉大かつ
最も嫌われた選手
康 芳夫
・・・自称「虚業家」
メアリー・マロン
・・・「腸チフスのメアリー」と呼ばれた人物
サラ・パーディ・ウィンチェスター
・・・館を増築しつづけ、不可思議な間取り
の建物を作り上げる
ホーマー&ラングレー・コリヤー
・・・元祖ゴミ屋敷&引きこもり兄弟
ニコラ・テスラ
・・・エジソンのライバルと呼ばれた男
この人選を見るだけでも荒木飛呂彦らしさが
滲み出ている。
それぞれかなりクセのある人物だが、ホーマー&
ラングレー・コリヤーにいたっては
「何もしていない」
のに取り上げているのが面白い。
(ゴミ屋敷、引きこもりの元祖のような兄弟ではある)
荒木飛呂彦自身、変人偏屈列伝にリストアップ
されてもおかしくない気もする。
この人達の行動の根本にあったものは何だったのだろう。
法を犯したわけではない。
つまるところ、自分の「仕事」に熱心であったにすぎない。
(熱心すぎた、とも言えるが・・・)
周囲の人を困惑させたが、意図的に傷つけようとした
事はない。
(自分の「我」を貫き通したために、結果的に傷ついた
人はいたが・・・)
誰でも自分を中心に物事を考えてしまうが、多くの人は、
その途中で周りとの関係を考え、少しずつ「修正」していく。
それでも「修正」をせずに、そのまま突き進もうとする人は
いる。それも少なからずの人が。
そういう人達と本書で取り上げられた人達とは、
どこが違うのだろう。
突き進もうとするパワーと方向が、多くの人が許容範囲
とする中からはみ出しているだけでしかないような気が
する。
彼らの行動の結果は眉をひそめるものが多いが、それでも
どこか共感を覚えるのは、程度の差こそあれ、誰にでも同じ
事をする要素を持っているからだろうか。
・・・とすると、つい使ってしまう「普通」というのは何だろう?
電気の技術で対立したのは、どこか同類嫌悪的な
ところがあったのかもしれません。
ニコラ・テスラが、いちばん天才的でエキセントリックで、一番好きです~。
20世紀前半の電気技術の多くは、
エジソンよりも、むしろテスラの業績だとか・・。
エジソンも、けっこう偏屈者で変人タイプだといわれてます。