Nicotto Town



インプラント


昨日、インプラントの手術を受けた。
前にも書いたが、経緯はこうだ。

発端は昔々、私がまだピッチピチの若グリコだった頃に遊びに行ったスキー場だ。
気持ちよく中級コースを滑っていた私に突っ込んできたお嬢さんは、こっちがよけようとしているのに思い切りストックを振り回してぶつかってきた。
そして。
下を向いた途端ぼたぼたっとしたたった赤い血は雪を鮮やかに染めたのだった・・・。

まあ、ストックがクリティカルヒットしたのは前歯の1本のみだったから、今思えば不幸中の幸いと言える。
下に降りる間に逃げられたので差し歯代10万以上かかったのは痛い出費だったが、顔に怪我をしたわけじゃないし、喉を突き破られたら今頃生きてないだろうし。
だがお陰様で私の前歯は弱くなった。
差し歯の横の歯も一時期少々ぐらついていたのだ。

次の展開は、年末。
チビの頭突きに神経の抜けた前歯は耐えられなかった。
歯茎が腫れ、膿が溜まり、応急処置でごまかしてきたがどうにもならなくなった3月、主治医に紹介してもらった総合病院の門を叩いた。

こういう場合、選択肢は3つ。
入れ歯か、ブリッジか、インプラントだ。
この場合、入れ歯はまだ早い。
ブリッジは両側の歯の表面を削って3本まとめた歯にするわけで、私の場合強度に少々不安があった。
ブリッジで10年もたせて3本入れ歯コースになるのはご遠慮したい。
と言うわけで、インプラントコースになったのだ。

痛い。
財布が、痛い。

いつか行きたいネパールのための個人預金よさよーなら~

だんなは家計費から出せば? といってくれたが、ありがたく辞退だ。
ひも付きの金に手を出して、その後数年それを恩がましく言われるのは真っ平ごめん。
かわいげのない話だが、勘弁して欲しい。

検査や事前準備を重ね、昨日抜歯とインプラントの土台仕込みをやった。
事前準備はCTスキャンなどの検査と同じくらい歯磨き指導が行われる。
 
せっかくインプラントを入れても口内環境が悪くては事後が悪くなるからだ。
私の場合、歯間ブラシの使い方を徹底的に教わった。
以前少々使ったらやたら出血したので敬遠していたのだが、やってみると出血は2日ほどでほぼ収まった。
今までずいぶん損していたものだ。

昨日はまず普段の検査室で歯の根を抜き、それから手術室に入ってインプラントを埋め込むという手順。
根を抜く前に抗生剤を飲んだ。
白い薬瓶の中の液体に水を加えてよくシャッフルしたものを一気に飲むのだが、似非バナナの味がする。
だがこれを飲めば1週間も効果が持続するというのだ。
いつも薬を飲み忘れる私にはなんという福音であろうか。
皿の上にはキシロカインが数本並んでいる。
抗生剤は進歩しているのに、麻酔はBJの時代からそんなに変わってないようだ。
いや、まず表面麻酔を仕込んだ綿を含んでからだから、少しは進歩しているのだろうか。
麻酔液、初の2本は結構な痛みを伴ったが、3本目は鋭い熱さを感じただけだった。
熱湯が無理やり細い血管を流れていく気がして、暴れたくなる。

ものすごいざくざくいう音とゴリゴリいう振動の後、根は抜けた。
「歯はこれだよ。割れたほうの部分は多分こっちの中に入っていると思うけど」
とくっついている肉をつんつんする先生。
私の好奇心をよくわかっていらっしゃる。

手術室に入り、周りをきょろきょろ観察する私。
いつものことなので、看護師さんが支度をしながら説明をしてくれる。
産院と違って反射ミラーはないので、自分の手術を見ることはできない。
そればかりか目の上にガーゼを載せられ、その上から穴のあいた不織布を載せられてしまうので観察は不可能。
この不織布、ただ載せられるだけかと思っていたら粘着テープが付いていて、上下の口から頬までべったり固定される。
あとではがす時、かなり痛かった。
化粧をしていたら、テープの幅でおしろいがはがれたことだろう。

麻酔が効いているのでそうそう痛みを感じるわけではなかったが、骨をゴリゴリする感触や肉をがばりとめくられている様は結構リアルだった。
「うん、中はきれいだ」
とか
「いい感じ」
とかつぶやく先生の声と、器具の音だけが響き渡る。
時々顔の真ん中線を引っ張られる感じがしたが、これは正中線を通る神経のそばで作業していたかららしい。
普段、歯医者で横になるとすぐに眠くなってよく先生に「ねちゃだめ」と言われてしまうのだが、さすがに手術中は言われず、うとうとしながら妙な感触を追っていた。
手術室内の時間は1時間弱。
最後の縫合の時、太い糸が唇の上で引っ張られるのが痛くて微妙に口の開け方を変えたりした。

レントゲンを撮り、改めて抜歯した歯を見せてもらった。
根の周りぐるりにぶよぶよしたものが付いている。
うわ、こんなに肉がついて、と思ったが
「うーん、いい防御反応だね。このぶよぶよしたところが炎症を食い止めていたんだよ。中はきれいなもんだった」
と言われ、体ってすごいなと思う。

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2012/05/23 19:41
つるまつさん
まあ差し歯で20年もったのだから、チビの頭突きは最後のひと押しだったのかもしれません。
我々の世代は、治療歯のリフォームになりますね。
この頃の歯医者さんは神経が残っていてもほとんど傷みがないので楽でしたが、さすがにこれだけ切るとかなり腫れて、昨日今日はムーミンのように鼻の下が延びた状態です^^;
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2012/05/23 15:30
うーん、逃げられたのは痛かったですね。

最近、年数経った治療歯のリフォームをしているのですが、虫歯を削る痛みが無いので、身構えずに歯医者に行けるのです。



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