Nicotto Town


おうむたんの毒舌日記とぼうぼうのぼやき


呪縛の家11 舞子14歳加奈子11歳両親の事故2

父、謙介と母、京子が乗っていた車が山道で転落事故を起こしたー二人とも死亡。その知らせが来たのは舞子が十四歳、加奈子十一歳の冬のことだった。
「あんたたちの母親が、殺したのよ」
第一報が警察から入り、ショックを受けながら出て行った祖母が、舞子たちに電話で知らせた最初の言葉は子供が受け止めるにはあまりにも酷い言葉だった。二人は祖母の悲しみと怒りのすさまじさに、涙さえ出なかった。事実かもしれない。実際、正気を失いつつあった母が父を道連れにしたのは、あり得ない話ではない、祖母への最大の復讐を母はしたのかもしれないー舞子も感じる。しかし、ならばなぜ、子供二人を祖母の元に置き去りしたのかがわからなかった。だから事故なんだ、舞子は何度も自分に言い聞かせ、泣きじゃくる加奈子に同じことを繰り返した。二人の姉妹も両親を一辺に失った悲しみで途方にくれていたのだ。

両親の葬儀は祖母の独壇場だった。子に先立たれた悲劇の母親として泣き崩れ、途中で気を失った。そのシーンだけは舞子は今でも鮮やかに思い出す。祖母は名女優だった、と。舞子と加奈子の気持ちは置き去りまま、混乱の中葬儀は終わった。あとで、親戚のおじさん、おばさんが
「あなたたち二人、祭壇の前で抱き合ったまま石のように見えた」
と聞かされたが、舞子に祖母の女優ぶり以外の記憶がほとんどない。確かに何も感じたくなかった。加奈子を抱きしめたぬくもりだけは覚えている。

舞子の記憶が再開したのは、葬儀から一週間ほどたったころ、気付けば母方の祖父母が舞子と加奈子のことを祖母に相談している場であった。
「二人を引き取りたいのですが」
ここから脱出する光をかすかに舞子は感じた。しかし、光はあっという間に闇に遮られた。
「二人は高橋家の人間です。ここから出す気はありません。京子さんに謙介を奪われたわたしから、更に奪う気なのですかっ!?」
いつも母の血が流れてると言って姉妹を憎悪する祖母が、京子の祖父母の申し入れを即座に激しく拒絶した。事故は京子が原因だと京子の祖父母を激しく罵った。しかし、本当の理由はそこではないと、舞子は感じていた。

祖母の感情の矛先をぶつける「対象」が必要なのだ。嫁の京子がいない今、対象は二人の姉妹しか残っていなかった。

祖母の嘆きの激しさは姉妹の想像を絶していた。二人は祖母の狂気の渦の中でひたすら耐えるしかなかった。地獄はこれより凄まじいのだろうか?
「殺人鬼の子供に食べさせなくてはならないなんて!」
祖母は子供だからといって容赦しなかった。溺愛していた息子を亡くした祖母は、対外的には『事故』で息子に先立たれた悲劇の母として嘆き悲しみながら、一方で舞子と加奈子に憎悪のすべてをぶつけてきた。
祖母は会社を売り払い、二人に孫と屋敷に籠り、世間から二人を隔離し己の感情のはけ口としか扱わなかったのであった。

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2012/05/24 23:43
 母親ではないけれど、アダルトチルドレンの一種なのかな。
 でも祖母の背景は何も語られていないので、『家』に祖母を含めた女三人が狂わされたとも思えます。
 過去をはさんで、どんな結末につながっていくのか。
 いろいろ考えてしまいます^^;
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2012/05/24 21:58
子供たちは逃げ場のない憎悪に呑み込まれてしまったのですね。
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2012/05/24 20:13
 そうかそうか、この事故が、姉妹がお互いに屈折しながらも異常に執着する愛情の根拠なんですよね。一昨日読みとるべきだったw キャラクターの厚みがあって魅力がますます増します。ってなると、、、やっぱ祖母ちゃんだよね!じつはおうむたんが化けてたとか、、、これは無いなビヨwww
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2012/05/24 19:47
ぼうぼうさん、ウィデングドレス似合ってますね(^-^♡)
ハムも、「カクテルドレス(アンレーヌ)白」フリマでゲッチュ!!

でも、、着てみたんだけど  ハムには余り合わなかったのがショック↴↴ガクリ。。\(゜ロ\)
ドレス似合う、フェイスや目や鼻や口を合わせてみようかなぁ~っておもってる(^◇^)
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2012/05/24 19:45
おばあさまも正気じゃないのね。
感受性のつ用意時期の女の子二人・・・・・
かなりの影響力だわ。

逆言うと、我が子もかしら??



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