Nicotto Town


おうむたんの毒舌日記とぼうぼうのぼやき


呪縛の家 その14

「そこまで言うなら、とめない」
あきらめたように浩介はソファーに腰をおろした。
「でも、行くのはあさって以降だ」
「今日と明日は、「家」ですごしてしっかる休養すること、いいね?」
完全に主導権を握られている、このまま浩介に身をゆだねることができれば、どんなに幸せだろう…舞子はうなずいた。
「あと、加奈子ちゃん。明日、加奈子ちゃんが自由意思で動けるよう手筈しておく」
「入院でバカンス続けて欲しいけど…」
「あの子は必ず「家」に帰る」
「あの子の中の「加奈子」でないものが、必ず「家」に加奈子を連れてくる」
舞子の確信した言葉を今なら理解し受け止めることができるー浩介は思う。でも、家との決着に手出しができない底見えぬ闇もまた「感じる」のだ。
出来るものなら、自分が舞子とともに行くべきではないか?しかし、舞子は浩介の介在を望まない。激しい拒絶は、あの「家」と重なった。舞子は寂しくつぶやいた。
「私の半分はあの家そのものなんだもの、私があなたを傷つけない保証はないけど、そんなの耐えられない」
無理に、いっしょにあの家に乗り込めば、自分を守るために舞子は自らを消しかねないー浩介はそれを恐れた。今はただ、さらに愛おしくなった存在と時間をともにするのみだ。。。浩介は深い溜息を吐き、ウィスキーのロックを一口飲むと、隣に座っていた舞子を無言で抱き寄せた。

翌日。
「今日はすぐに帰ってくるから」
「気をつけてね」
当たり前だった日常。それが特別な日々だったのだと改めてお互いが認識する。
「フェイントかけてばっくれるなよ」
わざとらしく浩介が釘を刺す。舞子はコクンとうなづいた。
「行ってらっしゃい」
また言えることを信じてー。

真夜中に目覚めてから眠ることができずにいた加奈子に翌朝の回診で医師が言った。
「希望するなら、通院でもかまいませんよ」
「え?」
「無論、あと二、三日入院して休むのもいいんですがね」
夜中に感じたのは邪推だったのか?加奈子はまゆをしかめた。その後、気が緩んだのか加奈子は浅い眠りについた。

ー舞子ー
違う、私は加奈子だよ・・・
ー舞子がー
え、家なの?お祖母様?
ー舞子が来るー
はっきり目が覚めた。お姉ちゃんが来る。
起き上がると、看護師を呼んだ。
「うちへ帰ります。精算お願いします」
気づくと、ベッドの横に紙袋があった。フード付きのトレーナーが入っていた。
「眠ってるなら起こさないで欲しいと木戸様から頼まれて預かっていたものです」
部屋に入ってきた看護師は紙袋から取り出したトレーナーを見ていた加奈子に微笑みながら言った。彼女には優しい姉としかうつらないのだ。部屋を出る彼女を見送りつつ、その姉と対峙するんだよ、このトレーナー着てね、と心の中でつぶやいた。

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2012/06/28 15:25
>紫草さん
感謝!です←と校正を他力本願するふとどきものです。

私の書く文章って誤字脱字がほんと多いんですが、なんていうか
書くものが逃げてしまわないうちに、文章にしたくて、
大急ぎでかき集めるようなところがあります。
んで、そのままアップするのは校正を始めると、けっこう、ごっそり
文章も書きなおしてみたくなったりするんですよね。
でもそれやってるうちに、続きの文章が頭から退却しちゃうような
なんだか、すごく急がねばならない気分になっちゃうです。。。
読みぐるしい部分も多いかと思いますが、指摘いただけると、ほんと、
ありがたいです
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2012/06/27 23:26
>看護婦
 残ってますよ。下から7段目かな。
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2012/05/29 22:28
舞子、加奈子が二重性持っていて、2×2=4 孝介が俄かにリーダーシップあるキャラになったから2*2*2 さらに未だ明かされないお祖母さんのなそ。うーーーん、早く読みたいけど、丁寧に書いて欲しくもあるwww ありがとうございます^^



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