エジプト:大統領選影響も…ムバラク氏終身刑
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- 2012/06/02 22:58:19
【カイロ前田英司】約30年に及び独裁的統治を続けたホスニ・ムバラク前大統領(84)に対する2日の終身刑判決を巡り、エジプト世論は複雑に揺れている。高齢なども考慮して評価する声がある一方、求刑通りの死刑でなかったことへの不満は根強い。16〜17日に控える大統領選の決選投票に影を落とすのは必至で、反体制派の弾圧を続けるシリアのアサド政権の今後の対応にも、影響を与える可能性がある。
「私はデモの最中に右手を失った。しかし、判決で正義は守られた」。公判が開かれたカイロ郊外の警察学校に北部アレクサンドリアから駆けつけたオサマ・モガジーさん(40)は泣いて喜んだ。「新指導者はこの判決から学ぶはずだ」といい、大統領選でムバラク政権末期のアフマド・シャフィク元首相が当選しても「気にしない」と言い切った。
一方、女子大学生のイスラ・アレムさん(20)は「なぜ終身刑なのか理解できない」と悔し涙を流した。大統領選については「ムバラク時代に戻らないためにも(穏健派イスラム原理主義組織)ムスリム同胞団を支持する」と話した。
http://mainichi.jp/select/news/20120603k0000m030064000c.html
ムハンマド・ホスニー・ムバーラクは、エジプトの軍人であり政治家でした。
共和政エジプト第4代大統領として約30年にもわたる長期政権を維持して来ましたが、
ジャスミン革命の影響のため同国内での暴動が頻発し、退陣を余儀なくされました。
ムバラク氏はミヌーフィーヤ県のカフル・エル・ムスリフ村に住んでいた小さな地主の家
に生まれ、父親は県の法務局で働いたこともあり大学進学を勧めたのですが、第一次
中東戦争で従軍するために士官学校に入学。 その後パイロットとして第二次中東戦争
でTu-16爆撃機に搭乗し、数年後に旅団長に昇進しています。
そして第三次中東戦争を経て軍大学校長に就任し、1969年に空軍大将、1972年に
空軍司令官兼国防次官に就任。 第四次中東戦争での電撃作戦で勝利を収め、
空軍元帥に昇進。 1975年に副大統領になり、1981年10月6日に前大統領が
暗殺されたため大統領に就任し、30年間安定した政権を維持したことから現代のファラオ
と呼ばれていたこともあったようです。
しかしジャスミン革命から起こったデモに対して暴力行為を支持したとして、退陣後に
逮捕され死刑を宣告されていました。
今回の判決は死刑を撤回し終身刑としたことで、国民の不満が高まっているようです。