大人の日本昔話
- カテゴリ:日記
- 2012/06/09 11:26:43
新釈 遠野物語
井上ひさし
新潮文庫
「遠野物語」は柳田国男が佐々木鏡石から聞いた
遠野地方にまつわる民話・伝説を集めたもの。
本書は、その「遠野物語」にインスパイアされた物語。
「犬伏」という名の老人から聞いた物語を「ぼく」が
書きとめた、という設定。
「遠野物語」は語る側も聞く側も誠実な人物だったが、
「新釈遠野物語」では
語る側は、いんちき臭く、
聞く側は誇張癖がある、
という事になっている。
犬伏老人が語る物語は、山の民、動物、妖怪、人間が
対等な立場で関わりあう。
全て犬伏老人が関わった話ばかりで、なぜ、こんなに
怪異に関わるのか、とツッコミを入れたくなるほどだが、
それは最後の物語で全て分かる趣向になっている。
怪異の物語ではあるが、どこか懐かしい感じもする。
夏祭りの夜、人通りの少ない裏通りに入ってしまったような、
すぐ近くに「普通」の世界があるにも関わらず、少しだけ
異なる「異世界」に踏み込んでしまったような、
「大人向け日本昔話」
と言ってしまってもいいかもしれない。
遠野は行った事はありませんが、HPをさっと見ただけでも、小奇麗な感じがしますね。
(↑失礼な言い方)
話が代わりますが、「妖怪」って、昔の人のモノの考え方とかがチラチラ見えたりするので、割りと好きです。
何か、西尾維新の「化物語」のような感じね。
実はワタクシ、8年前、遠野に行った事があります。
最初は、「日本昔ばなし」に出て来るような、
ひなびた田舎をイメージしていたけど、現実は全く違ってました。
遠野市の市立博物館での展示を見て、意外な事実に更にびっくり、でした。