ニコタ初期のサークル投稿作品（お題・秋）

　　　原題　【１０月の無い秋】（一部文章追加）

　・・・

　「大丈夫よ、本気になって探せば新しい仕事なんてすぐに見つかる わよ。」

　知子はそう言って、失業中の僕を慰めてくれた。

　僕は先月まで、ネズミを駆除する会社で、働いていたが、ある日
　
　千葉県の浦安市で市内最大規模の規模を誇る娯楽リゾート施設で

　作業している時、間違って駆除してはイケナイ種類のネズミまで

　駆除してしまい、それが原因で会社を解雇されていた。

　「　ありがとう。・・・・頑張って探して見る事にするよ。」
 
　僕は答えた。


　僕たちはの涼しい風の吹いて、木々の枝が小さくさざめいている

　九月下旬の公園の並木の下をいろんな話をしながら並んで歩いて る。

　つい最近まで厳しい暑さの日が続いてもう永遠に夏が終わらないん

　じゃ無いかという気がした事もあったが、もちろん終わらない
　
　季節などというものは無い。

　・・・・・・・・・・・

　「　世の中からジュウが無くなれば、みんなが安心して暮らせる 社会になるのにね」

　知子が言った。

　（注・作者の都合上、なんでそんな話になったは省略する。）

　僕は正直な所、知子が言っている事が良くわからなかった。

　なんで、世の中から１０が無くなれば、みんなが安心して 暮らせる様になるのだろう。？

　「　でもそんな事になったら、来月は１１月と言う事になって しまうし、
　この国から（　体育の日　）と言う祝日が消滅 してしまう」

　僕は取あえずそう言ってみた。

　大体からして、そうなれば、僕たちは　（１３月２４日）を（　聖なる夜）として
　２人で過ごす事になるし、この日の 性格からして　（１３）月はマズい気がする。

　しかし、僕がそう言うと、知子は不思議なモノを見る様な目で僕を見た。

　「　アナタはジュウ犯罪の恐ろしさが、わかってないからそんな ノンキな事が
　言っていられるんだわ」

　知子が言った。

　・・・言われて見れば僕は最近、新聞やニュースという物を 全く見ていなかった。

　多分、今世の中では、１０と言う数字を巧妙に使った手口で 行われる凶悪犯罪が
　頻発しているのだろう。　
　
　しかし・・・・・と僕は思う。

　今１０と言う数字が無くなってしまうと、今まで１００個入りだった モノは９９個に減ってしまうし、
　１０円と言う小銭が使えなくなって しまうのはスゴク不便だ。

　「２４の瞳」と言う小説は（２５の瞳）に改題しなくてはいけない
　気がするが　大体奇数になるのはいかがなものかと思う。

　・・・

　僕はそう思ったが口には出さなかった。

　何と無く、また大説教を食らいそうな気がしたからだ

 「あなたにとって、理想の結婚式ってどんな式？」

　知子が訊ねた。

　「んー？...重婚式とか？」
　
　今日のネタが（ジュウ）だったので、僕はそう答えた。

　見えない角度からの左フックの後、突き上げる様な右アッパーが
　飛んできた。