和訳の妙
- カテゴリ:勉強
- 2012/06/25 19:59:31
この間パリのエッフェル塔の模型を頂いた。
なんとライトアップ可能な品で、床において照明をすべて消してライトアップすると
なんとなくパリ上空にいるような気分になる。
「翼よ!あれがパリの灯だ!」
なんてリンドバーグのようなセリフも出ようというものである。
ところがこのセリフ和訳の妙であって、実際には言われていないのだ。
リンドバーグがパリ上空を飛んだとき
モチロン彼はそこがフランスであると知らなかったようで
実際に発した最初の言葉は着いた時の
「英語を話せる人はいますか?」
で、あったという。 まあ考えればそうだよね。
では、「翼よ!あれがパリの灯だ!」はどっから出てきたんだ?
って話になりますが
彼の自伝 『The Spirit of St. Louis』の和訳版のタイトルが
『翼よ!あれがパリの灯だ!』で、ありこれが広く日本に認知されたため
このような誤解が生まれたようである。
やはり名言は、作られるものなのだろうか?
そういえば、宇宙に行った日本人が
ガガーリンの名言『地球は青かった』をリスペクトして
宇宙からの第一声を『やっぱり地球は青かった』にしようと画策していたが
実際に流れたのは「これ本番ですか?」という音声だったとかw
名言は作ろうとして作るものではないってことですかね。
『翼よ!あれがパリの灯だ』のように
和訳の妙は、映画字幕ではよくあったことみたいで
今では、簡単にカタカナに置き換わっている邦題も
昔は、内容を加味して日本語のタイトルがついていたようだ。
そういえば翻訳家の戸田奈津子さんが言っていたけど
翻訳がいちばん難しいのはコメディ映画なのだという
日本でもよくある身内ウケみたいなことがほとんどで
それをそのまま日本語にしても、まったく面白くないのだという
そういう場合ギャグ自体をゴッソリ変えてしまうことも珍しくないという
まさに翻訳者泣かせといえるかもしれない。
このように、翻訳には、翻訳者のアレンジが入ることが多々あるのですが
たまに唸るような名訳が出来ることがある。
個人的に感動したのは
The quick onyx goblin jumps over the lazy dwarf.
直訳すれば
『素早い黒縞瑪瑙のゴブリンは、怠けたドワーフを飛び越えた』
となりますが、実際の翻訳では
『歴戦経る素早い黒小鬼、怠けドワアフ達をひらり。裃の鵺、棟誉めて夜露誘う』
っとなっていました。 この訳がなぜすごいのかわかりますか?
*これより下には、その核心が書かれています。 考えたい人はここにてストップ!
(解説)
パングラムという言葉をご存知でしょうか?
パングラムとはギリシャ語で全ての文字という意味であって
アルファベット26個使って、文章をつくる遊びです。
日本語で言うならば、いろは歌です。
いろはにほへと ちりぬるを~と続くこの歌は、
あいうえお のパングラムであるといえます
さて 『The quick onyx goblin jumps over the lazy dwarf.』 とは
とある有名な文章のパロディであります。
その文章とは
『A quick brown fox jumps over the lazy dog.』
直訳すれば「素早い茶色い狐は、怠けた犬を飛び越えた」という所でしょうか
もっとも有名なパングラムのひとつであり
タイプの練習やフォントの見本なんかにも使われる文章です。
これのパロディとして
『The quick onyx goblin jumps over the lazy dwarf.』
が存在しているため、この文章もパングラムを満たしています。
(気になる方はAから順に拾っていってみてくださいw)
『素早い黒縞瑪瑙のゴブリンは、怠けたドワーフを飛び越えた』が
『歴戦経る素早い黒小鬼、怠けドワアフ達をひらり。裃の鵺、棟誉めて夜露誘う』
になった理由
それがパングラムだということです。
れきせんへるすばやいくろこおに なまけどわあふたちをひらり
かみしものぬえ、むねほめてよつゆさそう
(お暇な方は、あ から拾っていってみてください)
パングラムを満たしつつ、直訳を上回る美しい言い回し
まさに奇跡のような翻訳であると言えるのではないでしょうか?
どきどきします。
なるほど!気が付きませんでした~
しっぱいだなんてとんでもない~これは成功ですよ~
姉の私も好きです^^
この前の
前に書かれた文章
五十音全部使ってつくってみました^^
ミスあったらごめんなさい
失敗ですねww
そうですね~だから〇〇訳版なんてのが多数出来たりしますよね。
井伏先生は、どうかんがえてもいい人なのに太宰に遺書で悪人呼ばわりされてかわいそうだと思いますw
そうですね。アルファベットのほうが組み合わせしやすいでしょうし
とはいえそこまで日本語に組み込むセンスすごすぎます。
そうですね。あれもこれもじつは後世の創作ってことがよくあります。
この話自体は、そんなに難しくないと思うのですが。いかんせん無駄に長いね!
英語をはなせる人はいますか? の他に 「トイレはどこですか?」だという説もw
なにか名言を作ろうとすると大概失敗しますよね。
お姉さんはこういうの好きな人なんですか?
すでに知っていたりしてw
単純に和訳するのではなく、パングラムまであわせてしまい
さらにこの文章。すごいとしかいえませんね~
文字遊び大好きなのですね~
もきゅもきゅ
途中までわかったら後少しです!
もう一度読みましょw
むーそんなに難しいですかね?
よく読むとわかる気がします!たぶん
井伏鱒二の「花に嵐のたとえもあるさ さよならだけが人生だ」の漢詩です。
外国詩をうまく訳そうとすると ほとんど二次創作の詩になっちゃいますよね。
名言は聞き違えや作られた物が多いかもですねぇ~。
面白く読ませていただきました!
言葉フェチの気があるので、こういう遊びは大好きです^^
「英語を話せる人はいますか?」
笑ってしまったんですが、偉業を達成した時の最初の言葉って、大抵こんなものかもしれませんね。
目からウロコ
翻訳の果てを見た
面緩む 忘れなそ
姉にちと聞け
知るまへより
ついに 言へさせむ。
知りませんでした!!
ニヤリときました!!
姉に言ってみようと思います!!!
おもろいモノですねぇ
言われないと「いろは・・・」に和訳がなっていたとは気づかない
更に「裃の鵺、棟誉めて夜露誘う」なんて 元の文章には要素すらないのに
これは その方の感性の凄さを目の当たりにした感じですねぇ~
んで 師匠は どんな和訳をするのでしょ?
もっきゅもっきゅ。
途中までなんとかわかりましたが・・・
(゜o゜)