サウジ、ホルムズ海峡閉鎖に備え古い移送路をテスト
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- 2012/06/29 20:43:21
[ドバイ 28日 ロイター] サウジアラビアは、西側諸国の制裁に絡んでイランが原油輸出の要となるホルムズ海峡封鎖に動く可能性に備え国内の古い原油パイプラインの輸送テストを行い、輸出代替ルートの確保に動いている。複数の関係筋がロイターに明らかにした。
このパイプラインは、イラン・イラク戦争時にホルムズ海峡を航行中のタンカーが攻撃を受けたため、1980年代にに建設された。イラク向け融資の資金回収のため、サウジは2001年、このパイプラインを接収しており、ここ数年は国内西部にある発電所への天然ガス輸送に使用されていた。
事情に詳しい複数の関係者は、サウジアラビアはここ4─5カ月間、ひそかに原油の輸送テストを行っているとし「原油輸出の代替ルートの確保のため輸送テストが開始された」と述べた。
西側の業界筋によると、紅海に面しているヤンブーにほど近いムアジズの石油貯蓄施設への輸送テストを最低4カ月間行っている。パイプラインの送油能力は日量165万バレル。
ペルシャ湾岸からの原油輸出に懸念を持っていたサウジアラビアは、1992年に紅海側へのパイプラインの原油輸送能力を強化した。ペトロラインと呼ばれる2つのパイプラインの送油能力は日量500万バレルに上る。
サウジアラビアの原油輸出量は日量で最大800万バレルだが、アジア地域で原油需要が増加し、紅海が輸出拠点となっている欧州向け原油需要が減少したことで、パイプラインは輸送能力の限界まで使用されることはなかった。その後、紅海沿岸の産業活性化などからパイプラインの一部を天然ガス輸送に振り向けていた。
サウジアラビアはここ最近までペルシャ湾からの原油輸出についてリスクは小さいと考えていたほか、西部の天然ガス需要からすべてを原油輸送に切り替えることは検討していなかった。だが、イランの核開発問題に絡む緊張から代替ルート利用に備えることを決めた。
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPTYE85S02T20120629