剱岳 点の記
- カテゴリ:映画
- 2009/07/02 08:53:37
『剱岳』観て来ましたー。
最初は見過ごしてたタイトルだったんですが、行きつけの整体の先生が「ロケがねー、すごい大変だったらしいんですよ」と話してくれて、「山登る話」とのことで、もしやして、と思ったら、やはり原作、新田次郎でした。
新田次郎の作品は、『孤高の人』一作読んだのみですが、父から「山に登る話ばかり書いてる人や」と聞かされてまして。『孤高の人』も父が「読んでみぃ」と貸してくれたんでしたが、面白かったので、『剱岳』も、少なくとも原作は面白いにちがいない!と。
で、キャスト見たら、結構いい人、というか、私がわりと好きな人揃ってんですね。
「これは、『本気』で作ってんな」と、そこで思いましたね。
かかってたのは劇場の中でも一番広いシアターだったんですけど、ファーストデーということもあってか、朝一なのに8割くらい埋まってましたよ。渋いタイトルだけに、一面にそこそこお年を召した方々。皆さん、原作のFanなのかな、などと考えつつ。
始まっていきなり、山伏さんが真言唱えてたり曼荼羅が映されたりでびっくりでしたが、これ、後々伏線になってたりします。話が進むにしたがって納得いくようになります。
登山の話であると同時に、仕事に懸ける話で(主人公は測量の仕事で登山を命じられたので)あり、同時に、山岳信仰の話であって、「山を征服する」のではなく、「山に迎え入れてもらう」為に模索する話でした。そのように感じられました。
登頂は成功するけど、「やったー!全人未踏の地に俺の足跡を付けてやったぞー!」みたいなのではないんです。
登頂の瞬間というのは映し出されはするんですが、あっけないほどあっさりなんです。
普通はさ、こういう自然に立ち向かう?系な大作って、ばばーん!とか、どどーん!とか、ピンチにつぐピンチで、挫折に悔し涙のアップ、で、幾多の試練を乗り越えちゃったぜ、俺たちすげーぜ!なノリになるもんじゃないですか。
そういうの、一切無し!
淡々と登り口探して「ここは無理そうですね」「さすが難しい山だね」って、淡々と語り合って。ピンチもあるんだけど、「あ、いけね、ちょっと足滑っちゃった」みたいな―――あの山の急斜面で足を滑らすって、命に関わる危険なんですけど。荷運びの人夫も途中何度もよろけたりするので、てっきり何かのフラグかと思ったら、そんなこと全然なかったですわ^^; スペクタクルなお約束刷り込まれすぎですね。
山岳会との競争も、「いや、まあ、俺たちは自分の仕事するだけだから」って、熱くならなくて。「それよりさ、この山、すげーのよ。さすがだよね、今まで誰も登れなかっただけあるよね」みたいな。
登頂に成功しても、先に書いたように「やったぞー!」なカタルシスは無くて、報われたような報われなかったような、でもやっぱ報われたのかな?
観終わった後、頭に焼き付いていたのは、ひたすら、山、山、山の威容と美しさで、何か長大な時間と雄大な自然とを眺める為の2時間だった気がします。
劇中、何度も登山の一行が小さな点のように見えるシーンがあったのですが。うん。小さいね、人間って小さい。
小さい人間なりに各々ドラマはあるんですけど。
過去に剱岳に挑んで望みを果たせなかった人。山岳会との確執。競争を煽る新聞社。無理難題をふっかけるえらいさん(空気の読めない記者と、えらいさんには、観ててイラッとしましたわ)危険の只中に突き進んでいかざる夫の帰還を信じて待つ妻。若い測量隊員の焦りと成長。案内人の家族内にも確執があったり。
それぞれに焦点を当てたら、5、6本は映画作れそうな感じなんですけど。
でも、この映画の主役は山!
人間の営みの方が背景で点景にすぎないんだなぁ。
そんな気分になる映画でした。
ロケが大変だった話ですが。
役者さんが実際現地で登山したということですが、あ・れ・は……大変とかいうようなレベルじゃないぞ!?むごいと言ってもいいくらい。
役者さんも大変だけど、機材運んで上がるスタッフも大変。
「空撮は嫌だからしなかった」とパンフに書いてあったけど、それじゃあ、あの、役者さんたちが山登りしてるところを上から見下ろすアングルで撮ったのは、いったいどこにカメラセッティングしたんだろ。
映像は非常に美しいんですが、このご時世に合成無しだそうです。
日没の陽に濃く淡く茜色に照り映える、現実離れして美しい雲海も、全て本物。
だそうです。
監督は、立山に立ち寄った際に山を見て感動して、この映画作ろうと決意したそうなんですが、よっぽど山に魅入られたんですね。
地味で静かな話でしたが「山すごいよ!山ステキ!」という、撮った人の気持ちはひしひしと迫ってくる映画でした。
親御さんは心配されたでしょうが、こうして今、お話できるんですから、良い体験をされましたね。
ピッケルとシャベルは…^^
多分、使えるものは何でも使っちゃう、ということかと。
本人はいたって呑気に構えていましたが
今では家で待っている親の心配がわかるようになって
申し訳ないことをした?と反省すべき点もw
すべては思い出と共にです
現在残っているのは登山靴だけですが
数年前まで
何故かピッケルが庭の畑の土ほじりに…
雪山専用シャベルが野良猫のうんこすくいに…
使われていたのは心配かけた親の裏返しでしょうかw
すっごいハードな活動されてたんですね。
映画はひたすら山を観る作品でした。
私は、大文字とか鞍馬程度しか登ったことないので、ああした岩肌の切り立った、万年雪のあるような山の光景って新鮮です。
立山剣岳を縦走しました(冬山も)
あのすごい切り立った崖の一部もクライミングしたこともあります
まだ映画は観ていませんが
今では登れないだけに観てみたい思いと
あの怖さを思い出したくない気持ちとで
観るべきかどうしようか悩んでいますw
素晴らしい映像に魅せられそうですね^^
役者さんについて。
浅野忠信が、いい感じに角がとれてて、最初、彼だと気付きませんでした。
わりと前から好きな方の人なのですが、数年前は、ギラギラとした迫力のある人、という印象だったので、こういう落ち着いた役ができるようになるとは思いもよりませんでした。
香川照之が巧いのは、もう今更。
松田龍平、久しぶりに見ました。というか、『御法度』で観て以来ですわ私^^;
『御法度』の時は病的な役だったけど、今回は普通の若者なのね。焦って功を急ぐところは良かったけれども、家庭持ちには見えないなぁ。
役所公司、ちょっとしか出てこないの勿体無い~。
宮崎あおいは、きらびやかな打掛より、こういう質素な格好の方が似合って可愛いですね。ちょっと幼な妻な風情がすぎて、浅野忠信が犯罪者に見えますが。うは
映画といえば、予告も楽しみ。
ナイトミュージアム2は絶対観に行こうと思ってますが、HACHIとカムイ外伝も予告見ると気になってきて。
HACCHIは日本犬(秋田犬かしら?)がえらいですわ。南極物語USAはシベリアンハスキーで、全然緊迫感無かったものね。立ち耳巻尾の日本犬のむくむくした仔犬の可愛さは異常!
映画化の話聞いて全然期待してなかったカムイ外伝、てっきりSHINOBIみたいなとんでもになるのかと思いきや、意外に色味が渋くて真面目そうです。アクションはワイヤー使ってるぽいけど。
SHINOBIのオダジョは画面から浮きまくってたけど(オダジョ嫌いじゃないのよ?)、松ケンの馴染具合は異常。オダジョはどこに行っても何を演じてもオダジョなオーラが出てるけど、松ケンって、北島マヤみたいなのね。
飯綱落しは大丈夫かしらと心配しつつ、「あ!変移抜刀霞斬り!」と、ときめいていたのでした。「予告が一番良かったよね」みたいなことになりませんように。