怪異19編
- カテゴリ:日記
- 2012/08/14 17:14:33
10月はたそがれの国
レイ・ブラッドベリ
宇野利泰 訳
東京創元社
レイ・ブラッドベリの短編集。
表紙のイラストが不気味な印象を与える、と思っていたが、やはり不気味な話が多い。
印象に残ったのは「使者」「風」の2編
「使者」
病気で寝たきりの主人公。
その飼い犬は話相手として、近所の人を連れてくることがあったが、ある時、帰ってこなくなってしまう。
事故に巻き込まれて死んでしまったのかと思われたが、そうではなかった。
「客」を連れてくるのに時間がかかっただけだったのだ。
それもそのはず、「客」は死の国にいたのだから・・・。
死者が生き返る話「ペットセマタリー」(スティーブン・キング)を思い出してしまった。
「使者」で訪問してきた「客」は、生前と同じか、それとも「ペットセマタリー」のように「別のモノ」が入り込んだものなのか。
「風」
風の中に潜む「何か」に命を狙われるようになってしまった男の話。
男は戦争中、ヒマラヤ地方で、風が生まれ、死ぬ場所を発見し、そこで「何か」の秘密まで見てしまう。
男の話を聞かされた友人は、半信半疑だが、男の切羽詰った様子に異常事態が起きている、という事だけは感じとる。
霧の中の「何か」に襲われるのは「ザ・フォッグ」という映画。
こちらは「怨霊」とでも言うべきものだったが、「風」の中に潜む「何か」は、もっと掴みどころのないものとして表現されている。
言われてみれば、風(特に暴風)は、時に何か意識があるもののようなふるまいをしている気がする。
こういう感じの話にも、すっと入っていけました。
「使者」にもぞっとしてしまいそうな・・・(汗
SF作品を読むつもりで買ってしまったので、
「何かが道をやってくる」ともども読みにくくて・・・
・・・と同時にブラッドベリに影響を受けたらしいスティーブン・キングもいろいろと・・・。
風というか、霧というか、
不定形な気体状のものに襲撃される話なら、
マレイ・ラインスター作「ガス状生物ギズモ」があります・・。