でかっ! 〈銀河乞食軍団〉合本版1
- カテゴリ:小説/詩
- 2009/07/04 23:53:06
久しぶりに書店に行って。
そろそろだけど、どうしようかなぁ、と思っていたけれど。
復刊された〈銀河乞食軍団〉の現物を見て、顎が落ちた。
なんせ、この1冊目で文庫6冊分、イイお値段になるのは知っていた。で、コレ1冊で終わらないのだし。
だから迷ってたんだけど……
カバー絵と文庫1冊分に一枚入っているイラストは鶴田謙二(創元のキャプテン・フューチャー全集の装画担当者)、でもってA4(!)、三段組のソフトカバーだった。
A4ですぜ、A4版! 割と一般的なハードカバーのほぼ倍のサイズ!
でかい。目立つ。やってくれるね~w
合本で高価になるなら「それなりの」装丁になるものだけど、〈銀河乞食軍団〉はスペースオペラ、二段組みのずっしりした布装版で読むのはなんか違う気がする。
あまりの大きさに、ネット上では購入をためらってる人もいるみたいだけど、出す側の意気に感じて購入決定してしまった。
それにしても、大元帥――この本の著者、野田昌宏さんが亡くなってもう一年にもなるんだなァ、と今更気付く。
追悼、というかで〈銀乞〉のCDを聴いてしんみりしてたら、ドラマ部分で笑ってしまってから、そんなに日が経ったかと驚いた。
多くのSFファンに愛され、敬愛を込めて宇宙軍大元帥と呼ばれる野田さんが亡くなったのが昨年六月六日。
同世代女子で読んでいない者のなかった氷室冴子さんも同じ日に亡くなられ、やはりSF読みの同性友人と「時代が終わったねェ」と溜息をついた。
体調が思わしくないらしいのは伝わっていたし、社長を退いた後に会社の不祥事のニュースもあってその心痛もあるだろう、最近の消息が聞こえてこないので「心配だね~」と噂したりしていたのだが。
数々の人気番組を手掛けたテレビマンにして番組制作会社社長。
翻訳者で作家、そして、スペースオペラの、いやSFの伝道師。
SFファンじゃない人には、『ひらけ! ポンキッキ』の仕掛け人でガチャピンのモデルと言われている、というとピンと来てもらえるのかも。
番組制作者を集めた番組で、明石家さんまが大元帥に「作り物みたいでんな」としつこく絡んでいたのを見て、「凄い人なのに!」とムカアッ~しとたことがある。
SF関係の日本有数のコレクターでもあり、SF大会での『開運! テレビ鑑定団』の鑑定に、他局で制作に関わってる人間が出ちゃまずいだろう、というので代理の人に出演してもらったことも(その後雑誌に載ったエッセイでその旨白状してしまい、以後、鑑定団に「必ずご本人が」という注意が加わっていたw)
のちにご本人自身で秘蔵の品を持って出演しておられた(予期したほどの高値にならなかったような……)。
本当のところ、同じSFでもスベオペよりもう少し地味なセンが好みだというのもあって、わたしは野田さンの小説の良い読者というわけではなかった。
時々SFマガジンに載る〈銀乞〉の外伝はとっても楽しんで読んでいたけど、金欠のせいで本編に手を出したのはずいぶん遅く、結果過去出ていた文庫は最初の数冊しか手に入れられず、読みきれていない。
(だからわたしにとっての〈銀乞〉はまず、お七とネンネ、おネジっ子たちの巻き起こす騒動だったりする)
だから大元帥、野田さンは、わたしにとっては、過去の幾多の作品をワクワクが伝わってくる筆致で語り、日本SF黎明期の出来事をご本人の体験した視点で楽しげに伝え、宇宙開発を人間味あふれるエピソードでつづる、エッセイの書き手、スベオペの、いやSFの伝道師、だった。
『スペースオペラの書き方』と『スペースオペラの読み方』(『――書き方』の続編、『愛しのワンダーランド』改題)の2冊はエンターテインメント系小説を書く人には良い指南書のように思うし、そうでなくとも、SFに魅かれていく青年の個人史と、黎明期の日本SF界の様子が生き生きと描かれていて、未読ならお勧め。とにかく楽しい。
どうも疲れ気味で他の本に食指が動かず(積ん読も多いしw)、この本と、買ってなかったSFマガジン最新号(〈雪風〉第三部の完結編が掲載!)を会計に持って行った。
何かを激しく主張しているみたいな取り合わせに、我ながら微妙にたじろいだ(いや、〈銀乞〉があまんりでっかいので、なんか、目立って)。
間違っても限定ジャンルしか読まない人間ではないし、たまたまなんだけど。
でも、いいや。
見たとおり確かに、SF好きだし。
宇宙に、未知の世界に、理論や思考の実験に、ロマンを感じるモノガタリ。
好きです。楽しくて、足を洗う気はまったくありませんが、なにか?w
少女小説はあまり読む方じゃないのですが、それでも何冊も読んでいるくらい氷室さんは「時代」を作った作家さんだったと思います。
氷室さんと大元帥、お二人が同じ日に亡くなられて、なんというか青春時代が去ったようなw気分になりました。
ぼーるがーどさん
鑑定団に大元帥ご自身で出演したとき持って行ったのは、スターウォーズ1作目のシナリオの準備稿(ルークがまだ“スカイウォーカー”じゃない)だったような。
しっかり自慢しているけどちょっと面映ゆげだったりするノダ節、楽しかったですね〜
今度の銀乞のカバー、旧カバーを意識したと思える、表紙から裏表紙までの一枚絵が素敵です。
いいよ〜 買って読みません〜?
ハープさん
ひらけ! ポンキッキの生みの親、というTVマンです。
書店で著者近影を見れば、なるほどガチャピンのモデルだとうなずけると思いますw
ながつきさん
大きさといい、厚さといい、ほぼ電話帳です。
実は多少悩んだのですが、結局買いそうで迷う時間がもったいないかなぁ〜、と思い切りました。
ナイR@TEP
今さら気付いたんですが、這い寄ったり、無貌だったりする混沌な方でいらっしゃいますか?
リアル自宅の書棚は、え〜、あふれてクロゼット前がつくねた本でエライことになっていますw
いい加減かたずけなきゃいけないんですけどね。
MISTYさん
いらっしゃいませ。
こちらも乱読ですが、傾向はSFとファンタジィにやや偏っています。
二社に限らず他の出版社も良質なSFとファンタジィを出してくれるとうれしいなぁ、なんて思います。
大元帥がこの世を去っても、その精神は不滅。
これからも本棚のハヤカワと創元のスペースを増やし続けましょう!
なにせ、リアル自宅の本棚が溢れかけてますので・・・。
でも、勢いで買ってしまいそうな気もするなぁ・・・。
私も、何巻も飛ばして読んでるので、復刊はうれしんだけど、
ちょっと購入をためらってしまいます。でも、いずれ買っちゃうんですね。たぶんw
まったく知らない人だけどSFね~
現地の人に何者かと聞かれ、日本で訳出したと答えた途端、みなさん、この人は日本でスターウォーズを訳出し紹介した人です、と紹介され、映画館中が拍手の渦、上映まで鳴り止まなかった、と言う伝説を作ったとか
ガチャピンとムックの生みの親、日本のSF界の重鎮にして、かずかずのSFグッズのコレクター、亡くなられしまったなんてとても悲しい
だから、今回の銀乞じ、ちょっと欲しいかなと思ったんですが、あれは無謀でしょう!
カバー欲しくても、本屋さんに準備ないと思う^^;
でも、鶴田さんのイラストですよ、あのサイズ欲しいですよね^^
う~~む、痛しかゆし、かな^^;
氷室冴子さんの本はいろいろ読みました。
古典に題材をとったものも好きでしたが、
「海が聞こえる」Ⅰ、Ⅱは、本当によかった。
途中にお名前が出てきたので、ふと、むかしたくさん読んだことを思い出した次第です。