妖精の通り道 2
- カテゴリ:小説/詩
- 2012/08/25 09:42:32
前回、8月22日の続き。
「妖精が通ります」
最初に立て札を見つけたのは、じつはもう二週間以上前なのです。
バイトの途中で。
暑さとノルマでぼうっとなっているとき。
見つけたときは、ほんとにうれしかった。
たいせつな優しさをもらったみたいで。
そして、二週間ぶりにまた、やはり仕事で
「妖精が通ります」の立て札のある所へ。
けれども、もうないかもしれない。
妖精が通る道だもの、見えなくなったとしても不思議はない。
現実に一瞬、ひらいた、異次元への道。
そんなふうに思いながら、さがす。
ここだったっけ、いえ、ちがう。やはりないのだろうか。
あそこ、あった! ん?
裏返しになっていたので、そっと戻した。
こんなことをしたのは、妖精、彼らのいたずらかもしれない。
…。
友人に、このこと、メールしたら
立て札に、お返事かいたらどうかしら?
「妖精見ました!」とか
と。
いいですねえ。
立て札のある植え込みにそっと手紙をしのばせたり、
紐付きカードをぶらさげたり。
「いつもありがとう 妖精より」とか。
しないかもしれないけれど、
することを考えると、
なんとなくやさしい気持ちになる。
「妖精が通ります」
をはじめてみた時のように。
ほんと、心が温かくなります。
植え込みの向こうに、かわいい三輪車などがあったりするので
お母さんが、小さな娘に、つくってあげたのかなとか、勝手に想像してます。
そんなことも、なんだか楽しい。
優しい話でしょう?
そういえば、メールした友人の、そのまた友人は、
「うちには座敷わらしがいます」という貼紙をみたことがあると書いてきました。
ちょっといたずらをして、けれどもやさしい座敷わらし。