忍猫物語外伝7
- カテゴリ:自作小説
- 2012/09/02 22:44:53
※下記SSは、うちのニコペットが主役の、ニコッとタウンを舞台としたお話です。
※基本的に、軽いノリのお話なので、感動するものは何もありませんが、箸休めにどうぞ。
――氷冴、貴女は聞いていないでしょうけど、忍猫戦隊のリーダー格の私は事情を聞いています。
――前線で活躍する上忍と、養成所でまだ研修受けてる下忍の差というものでしょうね。
――いいこと、氷冴? 今を遡ること7週間前、遠い異郷の地で生後間もないパンダ族の幼児が、
露よりも短いパンダ生を終えました。
――ホームの第二室に居候しているパンダたちは、異郷の幼すぎる同族の魂が天に召されるよう、
鎮魂の儀式をこの島で執り行うためにわざわざ危険を冒して集まってきているのです。
――なぜこの島かって? 逆に聞くけれど、なぜマスターはこの島にいると思うの?
――お客様が立ち入れないように封印されている第四室。その地下は私たち忍猫の修業場だけど、
その最深部に何があるか知っているかしら?
――異世界へとつながる次元回廊。それを見張るためにマスターはこの島に住み着いて、
忍猫養成所を作り、忍猫戦隊を組織しているのよ。
――そう、第四室の最深部にある次元回廊を使えば、遠い異郷の地に鎮魂を願う祈りを届かせられるかもしれない。
――状況を認識したのなら、為すべきことも自ずと分かるでしょう。
――現在、訪問者を装って、侵入者がホームに入り込んでいます。
――お客様の皮を被った侵入者には、御丁重にお引き取り願ってください。健闘を祈ります。
猫ではあったが、脱兎のごとく駆け出して行った「猫の穴」の後輩の後姿を眺めてから、飛鳥はぽつりと呟く。
「今の説明、全部鵜呑みにしたのなら、減点ものね」
ニコッとランド先住民と人族の入植者が協力して戦った大魔王戦役、
その戦いで智謀の限りを尽くして大魔王軍と戦った猫勇者がいた。
呪装きぐるみ(三毛ねこきぐ)のモデルとなった三毛ランジェロ、その娘は親譲りの頭脳派である――
忍猫物語外伝7 「眷属(後編)」
忍猫養成所「猫の穴」の第二室、臨時「忍熊猫部屋」はカオスな事態に陥っていた。
部屋を埋め尽くさんばかりのパンダの集団と、ケバい後光のような装飾にも見えるサンバシスタ女、
正直普段ならどちらともお近づきになりたくもないところである。
アリス「セバスちゃん、一緒にお屋敷に戻りましょうね?」
GGP「お前がいるからサーバンツを辞めたという事実をいい加減受け入れてくれんか?」
寒奈「どうでもいいですけど、争いは外でお願いします・・・」
GGP「違うな、忍猫殿。あのサンバ女は外に出すと本領を発揮する、争わせないなら屋内が無難だ」
寒奈「と言いますと・・・?」
アリス「ここ、民間自警団の『花鳥風月』のテリトリーなんでしょう?
志を同じくする自警団連合の規律に、自警団同士の私闘を禁止する項目があるのよ。
彼はそれを知ってて、ここに潜伏していたんでしょうからね」
GGP「そう、故にお前はここでは手を出せない、と言いたいところだが、
手を出す気満々だな、直接乗り込んできたところを見ると」
アリス「何故私が愛用のリルミトンではなく、サンバシスタを着用しているか、
それはズバリ、通りすがりということにするためよ」
寒奈「なるほど、通り魔ということですね・・・」
アリス「ちょっと、そこの忍猫ちゃん、人聞きの悪いことを言わないでくれるかしら?」
GGP「そうだな、通り魔というよりは、むしろ押し込み強盗だろうな。儂をさらって行きたいのだろうから」
アリス「セバスまで!? 誰か私の味方はいないの!?」
寒奈&GGP「どこをどうしたら味方が出てくるのか・・・」」
アリス「くくくっ、ここまで罵られたのなら、後ろめたさとかどこかへ行ってしまったわね。
忍猫ちゃん、巻き込まれたのなら、己の不幸を恨みなさい――」
先程まで肩に力が入りまくっていたサンバ女、もといアリスは、一転して全身から脱力してふらりと佇む。
先程とは打って変わって醒めた笑みを浮かべるアリスに、寒奈は底知れぬ畏怖を覚えて全身の毛が逆立った。あれは、触れてはいけない類の代物だということに今更ながらに気付くがもう遅い。
猫の穴の最も新しい研修生の寒奈は知る由もないが、以前行われた自警団同士の合同演習で、『サーバンツ』の上級メイドは忍猫を1対3でもなおも圧倒したという事実がある。
ニコッとランドを侵略者から守る民間自警団、その大手組織の上位者とは、押しなべて規格外だということ。
本来、外敵に向けられるはずの絶技が、ゆっくりとニコッとランドの住人へと向けられ――次の瞬間には、忍猫見習いが畳に沈んでいた。
当事者の寒奈は何をされたかさえ理解する間もなく。
アリス「大丈夫よ、命に別状はないわ。可愛いものはみんな大好きなこの私が、そんなに酷いことをしないわよ」
GGP「もうすでに、充分酷いことをしていると思うがな、巻き添えを食って昏倒させられた忍猫殿に同情する」
アリス「さあ、セバスちゃん、大人しく捕まってちょうだいね?
どのみち、あと少しで日没だから、か弱くなった夜の貴方を捕まえるのは造作もないけれど」
GGP「なに、儂の一撃で全部終わりにすれば問題ない」
アリス「貴方の技は実直すぎるから、受け流す自信はたっぷり、よ・・・?」
GGP「ぬっ、この冷気は尋常ではない・・・」
「フィールド展開・・・、デュエルデッキ構築・・・」寒奈
アリス「何なの、この力!? ランクAじゃなくって!?」
GGP「そうか、これが噂に聞く北方の」
二人の強者の意識が、畳の上に倒れたまま焦点の合っていない白猫に完全に集中したその瞬間、
物陰に潜んでいた白い影が放たれた矢の如く、アリスに向かって完全な奇襲を仕掛けた・・・!
忍猫殺法奥義・海老反り猫きっく!!!!
白い影――氷冴の全身のバネを使ったとび蹴りで延髄蹴りされて、脅威で奇異なサンバ女は一撃で沈んだ。
氷冴「にゃははは~。わたしが実力を出せれば、これくらいなんてことないわね~」
GGP「おお、忍猫殿、無事か。先程はとっさのこととはいえ、すまなんだ」
氷冴「いえいえ~、わたしのほうこそ、大切な集いに乱入してごめんなさいね~」
GGP「大切な集い? はっ、大切と言えば、妹君が何だか大変なことになっているようだが?」
氷冴「あ~、寒奈の封印が限定解除されてるわね~。無意識で召喚能力を発動させちゃってるようだから、やれることはほとんど一つしかないわ~」
「ラウンド開始・・・、サモン『ビッグフット』実行・・・」寒奈
GGP「止める手立てがあるのなら、早くしないとまずいことになりそうな予感が――て、どこへ行かれる、忍猫殿、そっちは外だぞ」
氷冴「昔の人は言いました~、三十六計逃げるが勝ち、とね~」
氷冴は二度目となる今度は自分の足で部屋の外へ飛び出していった。
GGPも逡巡したのは刹那のこと、弟子たちに総員退避を命じると、部屋の中央で呑気に気絶している元同僚の体を担いで一番最後に忍猫養成所第二室を飛び出した。
この日、忍猫養成所「猫の穴」は、三度目の瓦礫の山へと姿を変えたのだった・・・。
めでたくなしめでたくなし


























拙作にコメントをいただき、ありがとうございます^^
着せ替えアイテムの三毛ねこきぐが、
ニコッとタウン(ニコッとランド)の偉人?をモデルにした呪的装備というマイ設定は前からありましたが、
三毛ランジェロという、某有名人をネコ属性の名前にできたことから急きょ飛鳥の親猫になってしまいましたとさ^^
後遺症が残らない形で寒奈を重傷にしたアリスもなんですが、
あれでもめい一杯手加減しているとフォローしてみます^^;
外敵相手だと、もっとえげつない攻撃をやってたりしますからねぇ^^;
出せるかどうか不安だった猫キック、ネタを使えてそれがしも満足しておりますw
忍猫養成所「猫の穴」は不死鳥の如く蘇りますので、どうぞご安心を^^b
では、エピローグでまたお目に掛かりたく存じます^^
拙作にコメントをいただき、ありがとうございます^^
三毛ランジェロはネタですので、軽やかにスルーしてくださいw
間違ってもこのシリーズで登場することはないです^^;
なぜセバスチャン(GGP)がアリスを避けているのか、アリスがセバスチャンを追いかけているかは、
エピローグで明かされますが、まあ、至極順当な理由ですw
ランクA=危険指数6相当(以前出た魔犬より2段階上)、
かなり強い部類なんですが、守護者の正統クラスはランクSなので、ぼちぼちと言ったところです^^
セバスチャンとアリスはAマイナス評価と付記しておきます^^b
なお、サーバンツのトップにランクAがいるので、その辺は個人差ですなぁ^^;
肝心要のところで決める、主役の資質充分です^^
というか、最近気づきましたが、外伝は氷冴が主役のような気がしますなぁww
大丈夫、これでもう三度目のクラッシュですから^^;
表にはあげていませんが、花鳥風月が活躍する正伝の方ですでに2回、家が壊されてて慣れておりますw
ニコタ流の壊れた建物の直し方を次回、ねつ造してみます>v<b
寒奈編グランドフィナーレは次回、お付き合いいただければ幸いです^^
アリス、寒奈ちゃんに、なにするんじゃ~と思わず方言が^^;
しかし、もっとたいへんなことに、恐るべし、北の忍猫
海老反り猫きっく、猫の身体のやわらかさを利用した見事な技ですね
忍猫養成所が瓦礫の山から復活されることを祈りつつ
怪しげ姿で登場したサンバアリス嬢、やはり恐るべし!
実は通りすがりだったとは!! いや違う;
理に適ったその変装で押し込み強盗とはさすがサーバンツ! これも違う;
とにかくセバスチャンが避けるのも無理はないという事でしょうか^^;
アリスの笑みを想像して思わず狂気を感じてしまいましたが、
やはりその力は凄まじい・・・寒奈殿が何をされたのか。。
しかし突然発動した寒奈殿の封印されたAランクに匹敵するその力!
Aランクとはサーバンツをも凌駕する力!?
そこに氷冴殿の海老反り@@猫きっくを不意打ちで食らったアリス><;
これは効いたでしょう・・・海老反りですからねぇ w
自滅したかと思いきや見事復活、さすがです ww
そして発動を止められる事無く寒奈殿の封印されし力で猫の穴が;
実は一番怖いのは寒奈殿^^;?
この後の始末は、瓦礫となった養成所は・・・
今回も要所で魅せる虎の穴ワールドにどっぷりハマりました^^b
さてさて、セバスチャン達の行く末がとても気になる7.5話
楽しみにしております♪