米軍、戦闘にタブレット端末を活用
- カテゴリ:ニュース
- 2012/09/04 21:33:45
昨年、アフガニスタン駐留米陸軍で敵性村落の索敵・掃討作戦で小隊を率いていたケビン・ペレティア中尉は、拳銃や無線装置とともにタブレット端末を携行していた。国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)が開発した5インチのデル・ストリークの耐衝撃性版は、衛星画像をベースにしたグーグル・マップのようなアプリを搭載している。
米軍の戦闘用アプリの一つ
ペレティア中尉は、正確な戦闘地点を把握し、部下に素早く行動の指示を出すためにそのアプリを利用している。2日後、犠牲者を出さずにその村落の掃討作戦を完了した。
アップルが2007年にスマートフォン(多機能携帯電話)の iPhone(アイフォーン)を開発して以降、人々は携帯パソコンになる携帯電話を携行できるようになった。今では軍も作戦に利用するようになっている。DARPAは、地図表示のほか、爆発物や武器を特定したり、落下傘降下を誘導したりするための数十種類のスマートフォン用アプリを開発している。
DARPAはまた、BAEシステムズやSAICなど従来の国防業者だけでなく、新興のインビンシアや、カーネギー・メロン大学、ジョージ・メーソン大学などとも提携して固定・移動無線ネットワークシステム開発のため3件のプログラムに着手している。これらは、軍事用無線ネットワークを拡充し、無人機やセンサーと同期させ、戦場の携帯端末にリアルタイムで画像を送るという構想だ。DARPAはこれらのプログラムに今年度約5000万ドル(約39億円)を投じている。
DARPAはデル・ストリーク5タブレットを2011年春から同中尉の旅団に配布し、それ以降他のメーカーの端末も配備するようになっており、現在ではアフガン駐留米軍兵士1000人以上が使用している。DARPAはスマートフォンのプログラム開発では、エンジニアを実戦部隊に配属させた。戦場から戻った兵士から何がうまくいき何がだめだったかを直接聞き、修正を施したのである。
しかし、技術開発には限界もある。携帯電話は軍の暗号化通信ネットワークには接続できない。そのため、兵士は無線を携行しなければならない。またカスタマイズに当たって、あまりに多くの設定が必要になる。さらにはバッテリーは1日間分しかなく予備を持たなければならない。
それでもペレティア中尉は、軍が新技術を定着させることを期待している。「新技術の取り入れは早ければ早いほどいい」と同中尉は語る。
http://jp.wsj.com/IT/node_505895