Nicotto Town


うみきょんの どこにもあってここにいない


サモトラケのニケの瞬間の永遠


TV TOKYOの「美の巨人たち」、土曜日にやっていたのを、撮っておいて今日みました。
古代ギリシア彫刻の『サモトラケのニケ』(紀元前二二〇~一八五年頃)。
http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/backnumber/120915/index.htm

勝利の女神、羽をひろげ、すこしつきだした肢体、風をはらんだ衣服が
身体にまとわりついて。
頭と両腕と足の一部のない姿。
ルーヴル美術館に本物があります。
実物を見たことがないのですが、これまでずっと、何故か気にかかる彫像でした。
キリスト教が広まり始めたとき、異教として、それまで神殿にまつられてあった
彫像の多くが、顔などを破壊されたそうで、ニケもその時におそらく…とのことでした。
知らなかったのですが、指の一部も見つかっているそうです。
テレビでは、頭と腕があったら、どうだったか検証していました。
たぶん、おりたったところなのだろうと。
勝利を知らせるために、船の上に。
参考映像として、鷲がおりたつ瞬間が映し出されました。
なるほど羽をめいいっぱいひろげています。
その説明も興味深かったのですが、
顔と腕がないままでも、
破壊されるにいたった経緯を考えると哀しいことですが、
このままでも、いいと思ってしまいます。
ない顔を想像する、ない手足を想像する。
それこそ、想像の羽がひろがって。

ところで女神の衣服はキトンという薄衣だそうです。
これが風をはらんで、身体にはりついている、この表現が、
印象派の画家たちが、瞬間を描写しようとしたことに通じるといっています。
光の瞬間、風の瞬間をとらえて永遠にうつしだそうとすること。
なぜわたしが『サモトラケのニケ』に惹かれるのか、判った気がしました。
わたしは瞬間を描きだす、ということに弱いのです。
印象派にひかれるのも、同じ理由でしたから。

海で、波飛沫をながめています。
どの瞬間をとっても同じ姿はとりません。
雲もそうです。刻々と姿を変えてゆく。
わたしはこれらの瞬間を眺めるのが好きでした。
今みているものは、二度とみることができないものなのだ、
そう思いながらみるそれらに飽きることがありませんでした。
それは常に変化するのですから。
この瞬間をとらえるにはどうしたらいいのだろう?
そんなことを思ったものでした。

ニケの姿もまた、まさにそんな瞬間の凝縮として、わたしに映っていたのでした。



ところで、ニケは、ナイキ(NIKE)の元となった名前だそうです。
ローマ神話では、ヴィクトーリア (Victōria)のこと。
Vサインとナイキの靴とニケは密接な関わりがある、
そう、冒頭でいってました。

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2012/09/18 21:17
シーさんコメントありがとうございます。
たしか、はじめてみたのは、ルーブル美術館で作ったか公認のレプリカでした。
どこかの展覧会のミュージアムショップで。
ひろげた羽にひかれたような気がしていたのですが、テレビをみていて、
ああ、あの風をはらんだ瞬間にひかれたのだなと。
あるいは、そのどちらも。
シーさんのおっしゃるとおり、
彫像との出会いは、独特なショックがありますねえ。
いつか本物みたいです。
(とりあえず複製でもいいかなと、以前、レプリカを買おうとしたことが…。
 けっこうな額でしたので、断念してそのままに)

ナイキは私もはじめて知りました。
ヴィクトリアスポーツ店でナイキ製の靴を売っている、というのは
なんか楽しいなあと(笑)。
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2012/09/18 20:48
確かに風を感じる瞬間をつかまえて彫像したような作品ですよね。
私も実物を見たことはないので、いつか見たいです。
優れた彫像と対峙したときの心を鷲掴みにされたようなショックは忘れられません。

ニケはナイキの元だったの知らなかったです。ずいぶん凝った名前だったんですね。
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2012/09/18 09:54
9月の作蔵さん、ありがとうです。
ルーヴル美術館、ほんと、いってみたいですね。
一日じゃ、まわりきれない、っていいますから
ゆっくり、二三日かけてみたいです。
モナ・リザもみてみたいなあ。
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2012/09/17 23:53
ルーヴル美術館行ってみたいのじゃw



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