Nicotto Town


おうむたんの毒舌日記とぼうぼうのぼやき


自作小説 10月お題寄り道/「雑草でネックレス」

シロツメクサにアカツメクサをポイントに。

小学五年生のマイは独り言を言いながら、次々にツメクサを編んでいく。
”寄り道はするな”という親の小言はささやかな冒険心をくすぐり、マイは夢中になって「王女のネックレス」の作成に夢中になった。

気づいた時ー「王冠」になるはずのツメクサはぐったり、しおれ、あたりは闇の手がジワジワ彼女をを包み込もうと目論んでいた。

ハッと気づいたマイは、夜の闇を振り払いつつ、現実の我が家に走りだした。闇の手が彼女の足を何度かかすめたの感じ、一層彼女は全力で走った。

ツメクサの王冠が、ぐったりとしおれるのを感じながら、マイは走った。悲しかった。王国は崩れ去り、現実が恐怖とともにマイにまとわりついた。

電灯の灯った我が家に飛び込んで、マイはしおれた王冠を隠しながら、親の叱責にさらされていた。涙が床にシミを作った。同時に、握りしめた、しおれたツメクサからそっとマイに伝わった。
「また王冠は作れるさ」

「こんなにあたりが見えなくなるまで遊ぶのはダメって約束、何回目?」
お母さんが涙目で怒ってる。

「心配の…あま…りの…怒り…は…理解でき…」
根からマイが引きちぎったツメクサの振り絞る最期を手から感じながら、マイはこぼれる涙のまま、返事をした。
「もう暗くなるまで遊ばない」
そう言いながら、ツメクサの王冠がマイから離れていくのをマイは感じていた。

彼女は知らなかったが、大人への第一歩の階段を踏み出したのだ。ツメクサは二度とマイに語りかけることはなかった。
(完)

アバター
2012/10/31 06:47
 甘酸っぱさ満載なホロっとしちゃうお話ですね^^ 甘酸っぱいとかって思春期の恋みたいな物語が多いけど、このツメクサさんとお話しできなくなるのって、もっと根源的にそういう気持ちにさせられましたw
 でも小さい子、普通は自分の子を、オンモで遊ばせて、そんなときまたツメクサさんと向かい合ってみたら、きっと話しかけてくれるんじゃないかと思うなぁ^^



月別アーカイブ

2022

2021

2020

2019

2018

2017

2016

2015

2014

2013

2012

2011

2010

2009

2008


Copyright © 2024 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.