西島　　：　猫姉さん、ずっと考えていたことがあるんだけど…


なぁに？　西島さん、そんなに深刻な顔しちゃって。
冷奴にはもみじおろしにポン酢で行こうか、おろし生姜に醤油で行こうかってこと？


西島　　：　そんなことじゃないわよ！　
　　　　　　　そりゃそこそこ考えこんじゃうけど、その時の気分によるし。
　　　　　　　そうじゃなくて、わたしの名前って、西島なになの？ってこと。


ん？　「西島なに」ってなに？


西島　　：　だからぁ、姓は西島だけど名は何なのかしら？ってこと。
　　　　　　　西島ハルカとか、西島アヤメとか、西島ナナオとか、西島・・・　その・・・
　　　　　　　とにかくなんか可愛い名前、あるでしょ？　欲しいの。


名前が欲しかったの？　自分の名前なのに知らなかったの？
あるじゃない、立派な名前が。


西島　　：　え！　なに？　やっぱり「西島メイサ」？


ジマ。


西島　　：　え？


だから、姓が｢西」で名が｢島」なのよ。　これですっきりしたでしょ。


西島　　：　えー！　えー！！　ええーーー！！！
　　　　　　　スッキリするはずないじゃないのよ！　なんなのよ、その「じま」って！？
　　　　　　　そんな名前あるはずないじゃないの。


そんなことないわよ。　岩下志麻なんてめっちゃかっこいーやん。
ちょっと名前だけ似ててよかったわね♪


西島　　：　いやいやいや、えええー・・・　
　　　　　　　あ、それじゃ熊田は、いや、熊田くんは？　姓が「熊」で名が「田」なの？
　　　　　　　ぷっ、わたしよりも更に格好悪い。　ﾌﾟﾌﾟﾌﾟ…


違うわよ。　彼の名前は「熊田うし」っていうの。


西島　　：　はあ？　熊田牛？　牛の新品種の名前？　熊で牛ってなんだそりゃ。
　　　　　　　なんか気持ち悪い生き物になっちゃったじゃないのよ。


失礼ね。　「牛」じゃないわよ、「うし」。　そこ重要なとこだから覚えておいてね。


西島　　：　重要って…　そんなことはどうでもいいとして、どうしても納得できないわ。
　　　　　　　わたしの名前が「島」ってそんな、絶対に受け入れがたい事実だわ。
　　　　　　　それじゃぁ猫姉さんはなんて名前なのよ？
　　　　　　　まさかの「サユリ」だったら怒るわよ。


わたしは・・・　名前はまだない。





　　・・・・・・・・・・





西島　　：　それはまさかの・・・


吾輩は猫である。　ゆえにね。


西島　　：　ずる・・・