妖怪ニュース
- カテゴリ:日記
- 2012/11/23 23:08:19
江戸の妖怪事件簿
田中聡
集英社新書
本書は江戸時代の日記などに残っている、妖怪が絡んだ事件を紹介したもの。
中には、どこかで聞いた事があるような話も。
例えば「幽霊星」
八歳で子供を産んだという”とや”という少女の話。
(なぜかとは詳しく語られないが)その少女は翌年に死んで「星」になる。
そして、その星を見た人は、たちまち死んでしまうという。
「北斗の拳」の”死兆星”の話そっくり。
・・・ではなく、この話、死なないで済むための”おまじない”が付いている。
ある”おまじない”をしておくと、うっかりこの星を見てしまったとしても大丈夫というオチになっている。
思い出すのは「口裂け女」を怯ませるキーワード「ポマード」
他にも学校の怪談でも似た話を聞いた事がある。
他にも出てくる妖怪の話は、まるで芸能人のゴシップネタのような感覚で語られているのが面白い。
現在は、ある一定レベルまでの教育は行き届き、夜は街灯や看板が煌々と街を照らし、「暗闇」が少なくなっている。
そのため、暗闇を跋扈していた妖怪たちもどんどん追いやられてしまった。
・・・と思うのは早計で、かつて「妖怪の行い」という事にしていた事が「電気の振る舞い」に変わったなどと、説明する単語が変わっただけでは?
一見、現象が解明されたように見えても、突き詰めて考えれば、「妖怪の行い」と変わらない部分がある、と言っていたのは、物理学者であり、夏目漱石の弟子でもあった寺田寅彦。
この言葉をつくづく考えさせられるのは、特に章を分けて紹介されている「アメリカからきた狐」
幕末、欧米列強の船が次々に日本に来た際、「妖怪」までも連れてきてしまった。
その「妖怪」とは伝染病の「コレラ」
この「妖怪」に「狐狼狸」という文字をあて、人々は「妖怪退治」にいそしんだ。
ところで、寺田寅彦が言ったような意味でなくとも「妖怪」を「心霊現象」とか「スピリチュアル」とかいう単語に置き換えると、今も十分、妖怪たちが跋扈していることが分かる。
(特に、とある業界には、一見、人間と見分けがつかない妖怪がたくさんいる。風に乗って空を飛ぶが「滑空能力」しかなく、弱点は「選挙」「金」)
ちなみに江戸時代でも合理的な説明をする人もいた。ただし、少数派ではあったが・・・。
江戸幕府が倒れてから、たかだか140年ほどでは人はそんなに変わらないのだろう。
すくなくとも、ある面では。
日本独自のものなのでしょうね。
日本の古い習慣に根ざしたものだけに欧米人も喜ぶのでしょう。
ケガレとか、みそぎとか、たたり、とか呪術的な概念は、
今でも政財界、ビジネス界に横行してます~~~。
欧米では、呪術的な言葉を使わず、
キリスト教神学的な言葉で表現します・・。
ワタクシは、妖怪のようなドロドロした混沌とした世界は、
世界に誇るべきニッポンの文化遺産だと誇りにしてます~(微笑)。
欧米人が来た時、妖怪話をしてあげると、
彼らはとても喜びますよ~。
ところで妖怪は、生活に密着しているような「臭い」があって、切り捨てようにも切り捨てられない感じがします。
難しいけど…><
それにしても日本人って妖怪大好きみたいですね(^-^;