青い記憶のVACATION~後編~
- カテゴリ:自作小説
- 2009/07/18 18:25:10
(カチッ)
かけらを近づけると、ピッタリとくっついて、片面が平らなガラス玉が完成した。
そして次の瞬間、ガラス玉が強く光だし、目の前にさっき夕子と理緒が見たあの海の映像が現れた。
「さっき見たあの海だ!」
「あれ?この海、確か・・・。」
と、少し間を置いてから
「あ~~~~~~~!!!!!」
4人は一斉に声を上げた。
みんなの脳裏によみがえったのは、2年前、みんなが4年生の時の記憶だ。
夕子と理緒の家族は、みんなで海水浴に出かけた。
ところが、車を運転していた夕子の父親が道を間違えて、行く予定だった海水浴場と違う、知らない海に着いた。
だが人が少ないきれいな海だったので、みんなで遊んでいた。
その時に、2人の男の子に出会った。それが、今目の前にいる、政樹と智広だ。
このガラス玉は4人で遊んでいた時に偶然見つけた物で、これを宝として砂浜に埋め、こんな約束をしていた。
「来年この海にみんなで来たら、このガラス玉をみんなで掘り出そう。」
しかし、結局その約束は果たされず、みんなもすっかり忘れてしまっていたのだ。
海の映像は消え、ガラスはまた4つのかけらになった。
4人はその場にぼーぜんとした。
「このガラスが、俺たちの約束を思い出させてくれたのか。」
「おっどろいたなぁ・・・。」
「ねえ、これから4人でプールに行かない?私と夕子、行こうとしてたところだったんだんだけど。」
「いいなあ。行こうぜ!」
その日1日、4人はプールで楽しいひと時を過ごした。
聞いたところ、政樹と智広は違う小学校の生徒だが、住んでいるところはそんなに遠くなかった。
そんなこんなで、4人はすっかり親しくなった。
それから十数年後、2組の家族があの海に遊びに来た。
「理花ちゃーん!」
「政人くーん!」
夕子と政樹とその2人の子供の政人、理緒と智広とその2人の子供の理花の6人だ。
4人はあのガラスのかけらを今でも大切に持っている。
「このかけらが、私たちの縁を結び付けてくれたのね~。」
「ああ、不思議な思い出だよなあ。」
「ねえ、おとーさん、おかーさん。このきれいな青いのなあに?」
「これはね、お父さんたちの大切なものなんだよ。」
「どーして?」
「それはね・・・。」
夕子はあの日のことを子供たちに語り始めた。この青いガラスが光るように、4人の出会った海が青く輝くように、4人の中の思い出は、いつまでもキラキラと青く輝いている。