Nicotto Town


ぺんぎんうどん


となかいかぞく

サンタクロースの休日

パートナーのトナカイをご紹介♪
  • 名前:aki

    性別:おとこのこ

    称号:スターの
    トナカイくん

    レベル:17

    配達数:7,833個

  • 名前:megu

    性別:おんなのこ

    称号:世界一の
    おてんば

    レベル:27

    配達数:19,307個

  • 名前:haji

    性別:おとこのこ

    称号:トナカイ界の
    秀才

    レベル:19

    配達数:9,680個

続きにゃ


☆★


ランドセルや道具箱の、古い色褪せた名前シール。
小さく書かれた自分の名前。

そんなすべてが、下層トナカイの証になってしまう。

だけどボクには、ぎらぎらと光る刃を人間に向けてまで
奪うことの出来る勇気が無い。

haji は自分の胸に手を当てて、
空を見上げました。
街の明かりにさえぎられて薄ぼんやりと光る遠い星空。
せめてこの星のひとつでも捕まえて握りしめて帰ったなら
貧しい暮らしで暗い電球の台所も、明るくなってくれるだろうか。
だけど明るくなったところで、彼らの台所に並ぶ料理が、
ごちそうに代わるわけではありません。

haji は、きゅんと痛む胸を握りしめ、
春まだ遠い冷たい池に、身を投げました。


お母さん
ぼくに買ってくれるはずだったもののお金で
aki の新しいランドセルや、道具を買ってあげて。

クリスマスまで、あと十四日という夜のことでした。

★☆


お母さんトナカイの megu は、
池から救い上げられた幼い子供の亡骸を
背中に乗せて家に連れて帰りました。

亡骸よりもっと幼いトナカイの仔 aki は、
青ざめたお兄ちゃんの顔を見て

「怖いよ」

と近寄ることもできません。

「そうだね。
 とても怖いね」

お母さんはぼんやりと、aki の頭を自分の胸に埋めてなだめます。
そうして aki がやっと眠りについてから、
籠の毛糸玉を取り出しました。
毎日貰うサンタからのお給料でちょっとずつ買い足しながら編んでいた
兄弟のセーターです。
体の小さな aki の分はとっくに編んで出来上がっていました。
お兄ちゃんのセーターは、前身頃だけが出来ていました。
お母さんは、冷たくなった手で編み棒を持ちます。
そして朝までかけて、セーターを編み上げました。


朝陽が射しても締め切ったままのカーテンの内側で、
お母さんが aki に言いました。

「お母さんね、お兄ちゃんの机の中から、こんなものを見つけたの」

それは二人がサンタさんのアルバイトで貯めたお金が入っている封筒でした。
兄弟がアルバイトをしていた事はとっくに知っていたお母さんでしたが、
二人が一生懸命隠して頑張っていた事なのですから、その事は何も言いません。

「きっと一生懸命、欲しい物も我慢してお小遣いを貯めていたのね」

aki は何も答える事ができません。

「だからね、お母さんはお兄ちゃんの為にこのお金を全部使おうと思うのだけど、
 aki くんもそれでいいよね?」

封筒の中には、aki が稼いだお金も入っていたので、
お母さんが言うとおりに使ってしまうと、
もうごちそうは食べることができなくなってしまいます。
ちょっとだけ aki は目が潤んでしまいましたが、
何も言うことはできませんでした。

お母さんは aki の頭をもう一度胸に抱え込んで、

「ありがとう」

と言いました。


それから、お母さんは朝早いうちにサンタさんのところへ行き、
古ぼけて塗装も禿たソリを一台、売ってもらいました。
そして家に帰り、もう動かない幼子をソリに乗せて、
仕上がったばかりのセーターでふわりと覆うと、

「さぁ、街を出ましょう。
 aki も早くお乗り」

手を差し出しました。

「どこへ行くの?」

「山へ帰るのよ」

「お荷物は何も持たないの?」

「全部ここへ置いてゆくのよ」

「それじゃぁ僕たち寒くて死んじゃうよ」

「寒くても、毛皮があるわ。
 私たちは本当は、そうやって生きていく生き物なの。
 だから何も持たなくても大丈夫なのよ」

「フライパンも食器も持たないでいくの?
 ご飯が食べられなくなっちゃうよ?」

「人間の道具で作るご飯より、
 もっともっと美味しいものが山にはあるの。
 だから大丈夫よ」

「幼稚園の鞄を持っていかないと、
 明日から幼稚園に行けなくなっちゃうよ」

「もう幼稚園へは行かないのよ
 山は幼稚園より楽しい事も、お勉強する事もたくさんあるわ。
 明日からは山がおまえの幼稚園になるのよ」

「お兄ちゃんのランドセルも、教科書も持っていかないの?
 お兄ちゃんがもうお勉強できなくなっちゃうよ」

「お兄ちゃんには山で、
 もっともっと大切なお仕事が待っているの。
 だから教科書もノートも何もいらないのよ。
 それとも、おまえは街で暮らしたいかい?
 お母さんは行かなければならないから、
 どうしても街に残りたいのなら 養護施設に入って、そこで暮らすことができるわ。
 おまえと同じように、親と離れて暮らさなければならない仔がたくさん居る場所だから
 きっとおまえも寂しくはないわ」

「お母さんも一緒にようごしせつで暮らしてくれるの?」

「それはできないの。
 お母さんは山に帰って、もう二度とは戻ってこれなくなるのよ」

「そんなの嫌だよ!」

「じゃぁ、一緒においで。
 お友達もパンも牛乳も、何もかも無くなるけれど、
 私たちは本当のトナカイに戻って
 山で一緒に暮らしましょう。
 街の暮らしのように暖房も暖かなご飯もないけれど、
 上手くご飯にありつけなくてお腹を空かせる事も増えるけど、
 本当のトナカイに、戻るのよ……」

aki はお母さんが差し出した手を取りました。

三匹のトナカイを乗せたソリが、
夕暮れの空を駆けていきます。
街灯にさえぎられてぼんやりと薄暗い空を飛んで
山へ向かって。



☆★



山はとても静かでした。
そして、とても賑やかでした。

静かなのは、街のアパートのように、
隣近所の仔トナカイたちの泣き叫ぶ声も何も聞こえないから。

賑やかなのは、今まで聞いたこともない
不思議な呼び声や遠吠えがあちらこちらでこだまするから。

お母さんトナカイは山の中ほどにある僅かな平地にソリを着地させました。
そして雪を積らせた裸ん坊の木々が立ち並ぶ中を歩きます。
やがて、小さな洞へとたどり着きました。

「お母さん、ここはどこなの?」

「ここはね、私が産まれて、育った洞よ」

山の、山のまた更に山の奥。
少しだけ頭を上げると、雪で飾られた山頂の細長く続く境が、
月明かりに照らされてどこまでもどこまでも伸びていく筋が見えます。
お母さんも一緒に見上げています。
そして見上げたまま、aki の方は振り返らずに

「あれを、稜線というのよ。
 いいえ、覚えなくてもいいわ。
 人間の知識の言葉なんて、もう必要ないのだから」

それから magu はソリを引っ張り、洞から少し離れた丘陵に幼子の亡骸を放りました。

「お母さん、埋めなくてもいいの?
 お墓を造るのじゃないの?」

「いいのよ。このままで。
 この仔は土に還るのよ。
 それが本当のトナカイなの」

「だけど山にはオオカミや狐が居るのでしょう?
 お兄ちゃんが食べられてしまう」

お母さんは何も答えません。
黙って、さくっさくっと雪を蹴りながら洞に戻ってゆきます。
aki は、月明かりでひたすら眩しい雪の中に取り残される怖さに負けて
置き去りにされた亡骸を時々振り返りながら、
お母さんの尻尾を追って歩き出しました。






☆★☆★

コメントの入れにくい方向ですので、
無理に感想とか書かれなくても良いです。
私も返信のしようがないので
お返事はいたしません、よっと(´▽`)

あと三回くらいで終わる予定。

アバター
2012/12/15 21:45
ここからどう物語が進行して行くんだろう・・・
アバター
2012/12/14 11:54
街の暮らしを捨てて山にもどったんだねー!
しかし。
冬山は野生のトナカイだってきついだろうに、
街育ちのトナカイ母仔にはきついだろうなぁ・・・。
アバター
2012/12/12 22:36
おおお…まさかこうなるとは(´;ω;`)
続きがどうなるのかドキドキします。
希望を述べるとちょみさんが書きにくくなっちゃうと思うので
とにかく続きをお待ちしてます~!
アバター
2012/12/12 22:33
一番大切なものは、街のショーウィンドウにではなく
心の中にあるのですね。
その心こそが大切だと、最近とくに思います。
アバター
2012/12/12 22:13
次を楽しみにしています。
コメントは入れませんが、楽しみにしています^^
アバター
2012/12/12 20:49
haji君生き返るといいなぁ~^^
アバター
2012/12/12 13:12
母トナカイと次男トナカイの物語りを書き上げてしまうと、
この先たくさんの楽しい物語りを読ませていただけそうだから^^、
直接コメントしなくても、しっかり読んでいますからね♪
以下はつぶやき、、、

トナカイってアイヌ語だったんだとは、知りませんでした@@
不平等な社会構造も、トナカイの目だけは騙せないですね〜

シカの仲間でトナカイのメスだけが立派なツノを持ってるのは、
凍土をツノでほじくって、子供のためにエサを探すためだとか...←深い〜♪
やっぱり、ナミの母親ではないっと...@@目から鱗○○○○、、

アバター
2012/12/12 12:35
お兄さんの復活なるか
鍵はサンタのプレゼント~ (←ナルニアを視すぎ)
アバター
2012/12/12 12:09
ブログ更新が見えたので続きだけ読みにうかがいましたが・・・
お兄ちゃんがまさか!(; ;)
まだ続くのですね気になります~



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