とにゃかい一家 終わります
- カテゴリ:イベント
- 2012/12/14 12:43:02
サンタクロースの休日
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名前:aki
性別:おとこのこ
称号:ベテランの
トナカイくんレベル:20
配達数:16,188個
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名前:megu
性別:おんなのこ
称号:宇宙一の
おてんばレベル:30
配達数:35,925個
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名前:haji
性別:おとこのこ
称号:トナカイ界の
至宝レベル:24
配達数:15,859個
季節がまためぐります。
老いたトナカイの亡骸は、あっという間に骨だけになり、
その上にちらちらと雪が舞う頃になりました。
aki はご飯の苔を求めて山を駆けます。
やがて雪は積もり、地面はすっかり白く覆われました。
「また、クリスマスだな」
ふっと空に向かって呟くと、
空に満天の星が散らばっています。
aki は星に向かって、大きく前足を伸ばして飛び上がりました。
首を飾っていた大きな鈴は街に置いてきてしまったので、
音もなく静かに夜の空に舞い上がります。
空気が薄くなって、息が苦しくなる高さまで飛ぶと、
遠くに街の灯が見えてきました。
「あそこで僕たちは暮らしていたんだ」
少しだけ懐かしく思いました。
けれど帰りたいとは思いません。
街ではお母さんがたくさん働いて
やっとで毎日少しのパンを食べる事ができたけど、
それが辛かったとは思っていません。
ただ、なぜあんなに家は貧しかったのか。
みんなあんなに貧しい暮らしをしていたのか。
それだけがとても不思議なのです。
なぜなら、山ではまったく働いていないのに
食べる物は必ずどこかにあって
お家の鍵はもっていなくても
毎晩暖かな洞で眠ることができるのに、
なんでそれが街では叶わなかったのでしょう。
「この山で僕たちは、ただ生きているだけなのに」
ただ生きているだけで、
朝は毎日巡ってきます。
季節が移れば少しだけ違う味の食べ物にも恵まれます。
空が雲に覆われて、薄曇りの昼や真っ暗な夜もあるけれど
雲が流れるのを待っていれば必ず
青い空も、星の空も手に入るのです。
「ただ生きているだけなのに
僕の周りはこんなにたくさんの恵みに溢れているんだ。
僕が亡骸になったなら
それは他の誰かの恵みになって
永遠に変わらない、恵みなんだ」
aki の頭の上で
いくつもの星が流れては消え、
消えては流れてゆきました。
★☆
険しい山の中ほどで、三匹のトナカイが
遠い街を見下ろしています。
左に逞しく大きなお父さん。
右に立派な角をはやしたお母さん。
まんなかに小さな、だけど瞳を凛々と輝かせている小さな男の仔。
お母さんトナカイが、幼子に頬を寄せて言いました。
「本当に行くのかい? 坊や」
「お母さん、僕は街を見てみたいんだ。
もしかしたら僕にだって
働いて、たくさんお金を稼いで
冷たい雪の中で苔を探さなくても
暮らしていけるようになれるかもしれないよ」
「お金なんて持たなくても
山で十分に生きていけるのに」
二匹のやりとりをじっと聞いていたお父さんが、口を開きました。
「坊やの好きにさせてあげよう。
僕たちはこの仔が自由でいられるように、
そうやって育ててきたんじゃないか」
お母さんは悲しそうに目を潤ませて、そっぽを向いてしまいました。
お父さんは坊やに向かって語ります。
「だけどね、坊や。
一つだけ約束をしておくれ。
悩んだりつまづいた時には
独りで答えを出すんじゃないよ。
必ず山に戻っておいで。
大切な事はみんな、山の中にあるのだから」
「うん、大丈夫さ。
その時は必ず帰ってくるよ」
「サンタさんへのお手紙はちゃんと持っているかい?
僕がおまえと同じくらいの頃に
仕事をさせてくれた人だから
きっとお前にも仕事をくださるよ」
坊やはにっこりと笑いました。
「ちゃんと鞄に入っているよ。
お父さんがくれた、セーターとお金も」
「それは僕が小さかった頃、
兄と二人で稼いだお金だ。
だからお前もそのくらいは稼ぐことができるだろうね。
セーターは僕のお母さんが編んでくれたものだ。
街は思いのほか寒いからね。
辛い時にはセーターにくるまって眠るといい。
セーターの暖かさは、
おばあちゃんと、僕とお母さんの暖かさだからね」
そう。
母の居なくなったあの日。
aki が母親と二匹で暮らしていた洞で。
aki は独りで眠ることに耐えられなくて
母の匂いを偲びながら、お母さんの寝床で横になりました。
ずっとお母さんが抱きしめて眠っていたせいで
すっかりぼろぼろになってしまったお兄ちゃんのセーターの下から、
ころりと小さな袋が現れたのです。
せっかく編んでもらったのに、
街に置き去りにしてきてしまったのか、
失くしてしまったのか解らなくて、諦めてしまっていた
あのセーターと、僅かなお金。
数えてみるとそれは aki が働いた分のお給料でした。
お母さんは兄弟のお金を全部は使っていなかったのです。
何の為にそうしていたのか、
その時は解らなかったけれど、
aki が家庭をもって、
その間に産まれた男の子が
「街に行ってみたい」
と、打ち明けた時に、解ったような気がしました。
きっとお母さんも若い頃、
街に憧れたのでしょう。
その時に、
お母さんの両親も
同じように、お金と
少しばかりの暖かな服を持たせてくれたのかも、しれません。
幼子はお父さんからもらった鞄をぎっと握りしめました。
「お父さんがサンタのトナカイをしていたなんて、
僕、知らなかったよ。
何でずっと話してくれなかったの?」
そう。
お父さんは幼子が山の年寄フクロウから街の話を聞かされて
「僕も街へ行ってみたいんだ」
そう言いだすまで、
自分も街で暮らしていたことがあった事を、話してはいなかったのです。
「山では必要のないことだからね」
目を潤ませていたお母さんが
やっとで坊やに振り返りました。
「必ず、辛い事があったら帰ってくるのよ」
「ありがとう、お母さん。
その時は必ず帰ってくるよ。
ありがとう、お父さん。
お金とセーター、大切に使うからね」
「行っておいで。
僕たちのの大切な仔」
山の中腹から、街へと向かって、
小さな影が飛び立ちました。
夫婦はいつまでも、いつまでも、
小さな影がすっかりと、遠い雲の向こうに消えてしまうまで、
消えてしまっても、
肩を寄り添い、ずっと、ずっと、見守っているのでした。
~ 了 ~
(m*_ _)m
途中破天荒な展開になったにも関わらず、
読み続けてくださってありがとうございました。
お返事を書かないのにもかかわらず
コメントを入れてくださってありがとうございました。
自宅サイトなら遠慮なくがんがん書きまくるタイプの設定なのですが
ニコタのような多種多様な人の目に触れるSNSサイトで
こういう話を展開するのには戸惑ったのだけど
三匹のゲーム設定をしたら、
頭の中に話がぱーーっと出来上がってしまったので
とりあえず書き上げずにはおれませんでした(^_^;)
お付き合いくださった皆様に
改めて感謝申します(´▽`)
最後までお付き合いくださりありがとう~(´▽`)
ナポレオンは知っててもその母までは知らなかったです~><
母は強しですねぇ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%BB%E3%83%AC%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%84%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%83%BB%E3%83%9C%E3%83%8A%E3%83%91%E3%83%AB%E3%83%88
最後までお付き合いくださってありがとう~(´▽`)
おちょみさんコワイの苦手なので
観るも読むも書くもできません(^▽^;)
その辺だけは大丈夫!ww
途中「実は怖いちょみさん童話」になるのかと思ったけど
最後は丸く収まった様で良かったですw
好きなように、自由に生きて欲しいっていうのは
あたしも坊に対してのテーマであるのですけど、
やっぱり難しいですよね^^:
どうしても無駄に過剰に期待したり、勝手に期待したくせにがっかりしたり。
とりあえず洋服とか本とか、坊のために購入するものは
あたしのお仕着せにならないように自分で選ばせる所から
頑張っているんですけど…やっぱり難しいです~(^_^;)
最後までお付き合いありがとうございました(´▽`)
ゲーム用に性別と名前を決めて三匹を並べた時に、
最初から最後までだだーっと話ができちゃったので、
殆ど悩まずに進めました(´▽`)
でも頭の中の物を文章にして構築していくのって、やっぱり難しいですねぇ
多分お気づきかもしれませんが aki くんのモデルはうちの坊でした^^
最後まで読んでくださってありがとうございました(´▽`)
世襲制というか、トナカイは皆一度はサンタのトナカイの仕事をするっていう設定を立てたのですよww
そして自分がこの仕事に向いてるか向いてないかを見極めて
山や草原に帰ったり街に残ったりするんですねぇ
あ、これサークルのお題に使えば良かった…ww
案外山のようにあるんでしょうね。
いまのところ私にはわからないことだらけですが。
私もできるだけ子供の望むようにさせてやりたいと
願ってはおりますが・・・実際そういう場面に遭遇したとき
「いいよ。好きなようにやっといで~」と言えるかなあ~。
シートン動物記風に展開して行くところで、胸を打たれた...
イノセントなまま命を閉じた兄トナカイへの鎮魂歌、、
それから目をそらさずにたくましく成長する弟トナカイ、、
やっぱりこれはちょみさんでないと書けない物語です><;;
うまくクリスマスに
つながりましたねえ^^
この数日間ドキドキしてくれてありがとう~(´▽`)
トナカイの人生を持ち上げたり叩き潰したり忙しい感じの話になったにもかかわらず、
皆さん根気よく付き合ってくださって(ノ▽T)。・+; ウルウル
いや、普段のサークルのやつも茶々入れてくださっていいんですよ!
いつも読んでくださって本当にありがとうございます ペコペコ
最後までお付き合いくださってありがとう(´▽`)
なんだかダラダラと続けてしまって…(^_^;)
結局ちょっとした短編になっちゃいましたね^^
読む方も疲れたんじゃないかなぁと思います^^;
どうもありがとう^^
ちっちゃかった弟のakiくんがちゃんとおおきくなれて嬉しいです。
よかった…megu母さんが亡くなったとこで終わらなくて。
これで、こんどはakiくんたちの坊やのお話を想像できるってことですもんねー。
ここ数日間、ドキドキをありがとう。
普段の小説はサークルの方用だと思うので感想書かないようにしてたんですが
今回はつい…(*´艸`)
ま、たまにはいいですよね~。
話の展開をみたくて、ずーっと読んでいました。
ちょっとした短編になりそうですね^^
いつも読んでくださってありがとう~(´▽`)
ヒューマンドラマっていうのは、
意外と当たり前なラストで終わったりするものなのです~
なんちゅって^^;
最後までお付き合いくださりありがとうございました~
途中途中読み辛い方向になってしまってごめんなさい><
最後まで読んでくださりありがとうございました(´▽`)
実際、書いてる最中はトナカイの姿じゃなくて人の感覚で書いてましたので、
ことみさんの考えで当りです^^
子供向け…でなくて普通のファンタジーなら
ちょこちょこ書いていたのですが、只今絶賛行き詰り中のやつがあります~
終わったら紹介させてください^^
最後までお付き合いありがとうございました(´▽`)
こういうのが一番ノリノリで書けるので
また何かの折に書くかも…です^^;
毎回楽しみにしてました(TT)
最初の時と次からとが、えらく内容が変わった気がして、もった印象があったので、展開の仕方と内容になぬって感じでした^^
でも、いいお話にまとまったので良かったと思うのと、途中はトナカイじゃなくて人間の話だなと思って読んでました。
不条理な世の中ともいえるし、いい世の中ともいえるし、なんとも大人な濃い話がちりばめられていた。
今度はお子様目線のファンタジー系でクリスマスなので、何か書いてほしいとリクエスト書いときま^^;
aki君、パパになったんだね~@@
皆さんが穏やかに見守っててくださったおかげで、好き勝手に思う存分書けました(・∀・)
と、同時に、「人の目がある」っていうのをかなり意識もしました。
自宅サイトだと、嫌な表現にぶちあたっても、勝手に読んでるアンタの個人責任よww
と逃げられますが、こういう場所でそれはできないし(笑)
田舎を捨てるとか、そういうのではなくて、自分の知らない世界への興味を
もう少し掘り下げたかったのだけど、ちょっと緩く終わってしまいました。
でも、その緩さが大事なのかもしれないと自分勝手に言い訳してます。
途中途中、中途半端でダラダラしたにも関わらず、最後までよんでくださってありがとうございました(´▽`)
そんなわけで、合同企画に頭切り替えましょう~❤
あるよね、そういうこと!
これって、田舎を捨てて都会に憧れる若者とそっくりですよね。
行ってみなけりゃわからない、それを言いくるめてもしょうがない。
だから、両親は見送り、いつか傷ついて戻ってきたら優しく抱きしめてあげようと黙っているしかできないんですね。
ううん、田舎を捨てて都会に憧れる若者だけじゃないよね。
親なら誰でも、子どもが成長するにつれ経験することのひとつだよね。
子どもの親離れ。
そして、親の子離れも必要ですよね^^
とっても意外な展開だったけど、言いたいことの詰まった作品になったと思います^^
ありがとうございました♪