Nicotto Town



黒猫目日記番外7

どう云う訳か其れがしは動物に好かれる。
里におる時も狐やら猪にやたらと懐かれておった。野猿が木の実や茸を持ってきたり獺が魚を運んできたりと他の人間には近寄らぬ獣どもが其れがしには寄ってきた。
おじじ様は、獣どもはお前に恋しておると笑って言っておられたが獣に恋されても仕方がないではないか。
熊に抱きつかれたり犬に顔中舐められるより可愛いおなごに好かれたい。
なのにおなごには全然見向きもされぬ。かえって獣に怯えて逃げてしまわれる始末じゃ。
おかげでこの年になるまで色恋沙汰とは無縁であった。
しかし、街にはいろんな人が沢山おる。獣どころか妖魔や妖獣を身に纏わせたおなごも見かける。
其れがしのことを好いてくれるおなごも居るやも知れんと密かに思っておるのだか・・・

いや、邪念じゃ。今は姫をお守りする使命を果たすのみ。





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