忍猫物語外伝11
- カテゴリ:自作小説
- 2012/12/19 21:23:28
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※下記SSは、うちのニコペットが主役の、ニコッとタウンを舞台としたお話です。
※基本的に、軽いノリのお話なので、感動するものは何もありませんが、箸休めにどうぞ。
忍猫見習い・霜真(そうま)
北方の白猫の王族の末姫。
活動的な性質ではあるが、活動的すぎてお転婆と評されることも少なくない。
忍猫養成所で怪力無双の素質を開花させ、その矮躯から放たれる秒間11発のメガトン級猫パンチのラッシュは、すでに必殺技の域にまで昇華している。
好きな食べ物はモチ、人族の間で期間限定でしか流通していないのが悩みどころ。
忍猫見習い・暗卦(あんか)
ニコッとランドを巡回してたサーカス一座の座長の次男の黒猫として生まれるが、兄が父やサーカス一座と共に旅立ったため、まだ幼かった彼は定住を望んだ母と共に暮らしていた。
年を重ねるうちに猫族によくある放浪癖が抑えがたくなり、父と兄のいるサーカス団を探して故郷を旅立ったその最果てで、兄と同じく忍猫にスカウトされて今日に至る。
アンコは黒あん(つぶあん)をこよなく愛する。
忍猫物語外伝 第11話「ニンジン畑で掴まえて」
ニコッとタウンの郊外にある個人農園にオセロコンビ、もとい忍猫見習いの霜真と暗卦は連れてこられた。
二人を連れてきた好々爺っぽいオーラを漂わせている長毛種の老うさぎは、
突いていた杖で自分が世話している農園を指示した。
うさ爺「ここが儂の農園じゃ。件のニンジンは1列に10植えておって、それが10列じゃから、ほんの100本ほどじゃのう」
霜真「いやいやいや、おじーちゃん、本数はそうかもだけどさ、やたらと育ち過ぎてるニンジンが目立たない?」
暗卦「各列に2本以上は、ニンジンがメガ化してるぜ?」
うさ爺「ほっほっほっ、儂は果報者じゃて。さて、儂はここで見ておるから、ニンジンの収穫を頼んだぞい」
霜真「メガニンジンはともかく、数自体は無理難題ってほどじゃないし、ちゃっちゃっと片づけよっか、暗卦?」
暗卦「あいよ、ソーマの姐さん。おれっちは向こうの隅から掘っていくから、姐さんはこっちの隅から掘ってこうぜ?」
霜真「了ー解、ニンジン畑の真ん中で落ち合おっか?
――遅かった方が、モンキー飯店のウルトラ肉まんを奢るってゆーことで」
暗卦「食い物が賭かったら、姉弟子とは言え、おれっちは手加減しないんだぜ?」
霜真「そのセリフ、ボクに勝ってから言った方がいいよ?」
霜真は傍らに植えられていたニンジンに向かって素早くしっぽを振ると、
一瞬の早業で畑に埋まっていたニンジンがしっぽに巻き取られて、成熟した暖かな色合いをさらけ出していた。
霜真「氷冴姉から雑用として、猫の穴併設の農園の収穫をやらされていたのは伊達じゃないからね?」
暗卦「相手にとって不足はねぇぜ! 各地を流浪していた間に身に付けたスキル、今再び日の目を見ることになったな」
跳躍一つでニンジン畑のもう片端まで跳んで行った暗卦は、コーナーに植えられているニンジン目掛けてネコ貫手を繰り出し、ニンジンの脇すれすれまで前脚を地面に打ち込んでから、一掬いでニンジンを掘り出してしまった。
両者のニンジン掘り技能はほぼ互角、いや、若干霜真の方が早いかもしれない・・・!!
見えないゴングが打ち鳴らされ、忍猫見習いコンビ、もとい、オセロコンビは、まさしく白黒つけるべく、隠されていた爪を剥き出しにして、ニンジンを掘って掘って掘りまくる。
通常サイズのニンジンは二人とも苦も無く掘り出せたが、特殊成長を遂げたメガニンジンはさすがに、見習いとは言え忍猫でも一瞬の早業というわけにはいかないようだった。
しっぽでは絡め取れないサイズのメガニンジンに対して、霜真は忍法・腕力増強の術を使うと、後ろ足で二本立ちし、前脚でがっしりとニンジンの方を掴んでから、遠い異国に伝えられる格闘技でいうところの、ジャーマン・スープレックスで力に任せてメガニンジンを引っこ抜いてしまう。
一方、暗卦はメガニンジンに対して、霜真のような正攻法を使うわけでもなく、忍法・土遁の術をアレンジして、溜めた≪力≫を地面に打ち込んで、地中に発生した衝撃で獲物を地上へと打ち上げた。
通常掘りでは霜真がリードし、メガ堀りでは暗卦が優位に立ちながら、唐突に始まったニンジン収穫バトルは、開始10分ほどで終局を迎えていた。
普通にやれば1時間以上かかるそれを、10分足らずで終わらせようとしている辺り、ムダにハイスペックな、もとい、将来有望な忍猫見習いたちである。
賭け勝負の分水嶺であるそれぞれにとっての5列目最終は、ちょうど隣り合っているわけだが、霜真のラストがメガニンジンであるのに対して、暗卦のラストは通常のニンジンという時点で勝敗は決したと言っても過言ではなかった。
負けるにしても数秒差の僅差にすべく、霜真が敗戦処理の最後のメガニンジンに組み付いていると、すぐ側から驚愕に満ち満ちた大声が飛び出した。
暗卦「――!? どうなってやがるんだ、こいつはよ!?」
霜真「ふん――しょっと! よしっ、やっと終わったー! え、なに、まだ終わってないの、暗卦?」
暗卦「いやな、おれっちの最後のニンジン、おかしいんだぜ? おれっちの貫手が地面で弾かれやがるんだぜ」
霜真「もう、しょうがないねー。ボクが51本目を抜いてあげるから、モンキー飯店の白金チャーハンを奢るんだぞー?」
暗卦「ソーマの姐さん、さらっと要求がグレードアップしてねーか!?」
霜真「ぐだぐだ言ってると、満漢全席にしちゃうよ? ――って、あれ? びくともしない?」
うさ爺「お前さん方、最後の一本だからと言って、もったいぶらんでも良いんじゃぞ?」
暗卦「じーさん、このニンジン、抜けねーんだが?」
霜真「マヂで抜けないよー?」
うさ爺「そんな馬鹿なことが・・・いや待て、よもや、まさかこれは5年前に出現したあれなのか・・・!?」
にんじんセイバー。
たまにニコッとタウンで見かけられるレプリカは、
5年前の大魔王戦役でうさぎ族の勇者が振るった聖剣をモチーフとしている。
所持するにふさわしいうさぎ族にしか地面から引き抜くことができないという、まさに聖剣の王道を行く破邪の剣である。
うさぎ族の聖剣伝説の冒頭に、次の一文がある。
≪世に大いなる災いが芽吹くとき、大いなる希望もまた芽吹く≫
逆説的に言えば、大いなる希望が芽吹いたということは、
大いなる災いが密かに胎動しているということでも、あるのだが・・・。
次回・霜真編最終話!



























ご感想、ありがとうございます(*^o^*)
前回、怪しい怪しいとの評判が絶えなかったうさ爺ですが、
ご覧の通り、あの御老体は無罪です。それがしの書き方が悪かったのでしょうなぁ、やっぱり( ̄ー ̄;
ニンジンの収穫と見せかけて、聖剣の所有者の選定、某エクスカリバーのネタを使用しております>v<b
果たして、にんじんセイバーを扱うことのできるうさぎ族の勇者の再臨はなるか!?
と、ここまで煽っておいてなんですが、霜真編・最終話の展望には期待しすぎないようお願い致します^^;
それでは次回の最終話を、年越しの準備をしながらお待ちください(^^)/~
ご感想、ありがとうございます(*^o^*)
タイトルは言わずと知れた「ライ麦畑でつかまえて」のパクリです^^
ちなみに、それがしはタイトルを知っているだけですが^^;
えー・・・、若干説明させていただければ光栄ですが、
うさ爺の農園にあったニンジンのうち、にんじんセイバーは最後に残った一振りだけです^^;
残り99本の通常ニンジンとメガニンジンは、普通にうさ爺の食卓に上がることでしょうw
まぁ、全部にんじんセイバーだったなら、オセロコンビは一本も抜くことができなかったでしょうが(^^;A
2人は猫族なので、にんじん型聖剣を抜く資格がないのですよ、はい。
次回の最終話、怒涛の巻き展開をお楽しみに(^^)/~
ご感想、ありがとうございます(*^o^*)
本文中ではなかなかパワーファイターの描写ができないので、
解説の方で力自慢であることをご紹介いたしましたが、それよりも。
それよりも、霜真がお姫様であることが意外と言うのがそれがしには意外でしたがw
バックナンバーで、姉の氷冴が第二王女だとか、姉妹の母親が北の女王だとか、
何度かそれっぽい描写が出ておりましたが・・・チェックが足りませんなぁ( ̄ー ̄)b
まあ、拙作は読み捨てるもの、細かい設定は覚えていない方が新鮮かもしれませんなぁ>ー<b
ニコタを舞台としているSSですので、オリジナル設定だけではなく、公式設定も織り込みますとも^^
それでもまあ、着せ替えアイテムをそのまま流用するのは躊躇われたので、
肉まんもチャーハンもちょっとずつ上位を匂わせる品にしておりますが^^;
ちなみに、にんじんセイバーですが、「おもちゃのにんじんセイバー」という着せ替えアイテムが存在します
先日それがしがにんじん剣を持って巡回しましたが、
そのにんじん剣が上で出てきたにんじんセイバーのレプリカ、という設定です( ̄ー+ ̄)
切りよく年内に閉幕することにしましたので、
次回は強引にでもオチを付けさせていただきます^^
今週末を目途にお待ちください(^^)/~
まさかのエクスカリバー!?ならぬ、にんじんセイバーとは
本格ファンタジーではありませんか!!
おもしろい、おもしろすぎます^^
いいですねぇ。しかもあの伝説の剣まで・・・霜真・暗卦さんたちの正体(?)も!すごい展開になりそうですね。
それにしてもすごいニンジンの数とにんじんセイバーどうなるのでしょう。ウサギの勇者の登場が期待されるのでしょうか・・・・・・
最終話、長編となるのでしょうか。ワクワクします。
想像してしまったではないですか w
しかし設定がお姫様だったのですね。。想像つきませんでした^^;
暗卦の設定も奥が深いですね^^
つぶあん好きなのは筆者の影響でしょうか^^?
それにしてもモンキー飯店名物まで出してくるとは流石です( ̄ー ̄)b
ニコタワールドを色濃く出しておりますね☆
ニンジン堀りの技の数々、想像するだけで楽しい・・・
終局を迎えたニンジン掘りで登場したにんじんセイバーって;
以前どこかのイベントであった月うさぎのにんじんを想像してしまいましたが^^;
最後の一節もまた^^; w そういう発想もありですね♪
次回最終話ですか・・・もう少し続くかと思いましたが。。
これはクライマックスが非常に楽しみです☆