別れのジングルベル
- カテゴリ:小説/詩
- 2012/12/25 08:58:05
あなたが好き
古ぼけた
写真をみならがら
そっとつぶやく
あなたとの出会いは
クリスマス
ケーキ販売で忙しく
手際のいいあなたがいた
賑わう夜
暇な日に
バイトをした
ひと時つながら
ホットコーヒーがおしい
「ねえアドレスこうかんしない?」
彼から言われた
はっと言われながら
交換した
彼からのメールは毎日
学校の話とか
恋愛の話とか
観覧車に乗ったり
いつしかメールが
少なくなった
そして別れの言葉
古くなった彼の写メール
私はなんだったの
面白い面白いおもちゃだったの
今年もシジングベル
またケーキ売りのバイト
彼の姿がない
一人きりの寒い日
ショット・バーのカウンター
いつものように片隅に座っている
カウンターの上には
ハイボールのグラス・・
去年の今頃は
この場所で君と二人で
窓越しに見える夜景を
グラスを傾けながら眺めていた・・
君は・・
ちょっと辛口のシャンパン・・
バーテンダーが近づくと
そっとグラスを差し出した・・
イブの夜・・行けません・・
メールが来た
返信をしないことの意味は
君に分かってもらえたはず・・
今年は・・おひとりですか・・
女性のバーテンダーの笑顔が
僕を見つめていた・・
空しかった・・
去年・・ここで
君が言っていたことを
想い出していた・・
大人の恋ってつらいのね・・
ずっと・・このまま二人で
いられたら・・いいのにね・・
言葉が終わらないうちに
ポロポロと涙がこぼれていた・・
来年の・・イブも逢えますね・・
逢ってくれますね
そう言っていた・・
でも・・今年のイブは一人の夜・・
さみしげな携帯の・・
メール着信音・・
「メリー・クリスマス」
「行きます 待っていて・・」
カウンターの上の
赤いキャンドルが
明るさを増したような
気がした・・
楽しいクリスマスを送っている人もいれば、寂しいクリスマスを過ごしている人もいますね。
一人寂しくクリスマスを過ごしている身にとっては、楽しげなクリスマスの光景も、悲しく見えてしまいます。