百聞は一見に如かず
- カテゴリ:日記
- 2012/12/30 15:46:18
錯覚学-知覚の謎を解く
一川誠
集英社新書
「百聞は一見に如かず」という言葉がある。
「人から話を聞くよりは、直接見る方がよい」という意味だが、人は、それほど正確に世界を見ているわけではないらしい。
錯覚。
同じ長さの線であるのに違って見えたり、直線なのに曲がって見えたり、同じ色なのに色の濃淡があるように見えたりすることがある。
色のない所に色を見てしまったりすることさえある。
そういう例を見た事がある人も多いだろう。
しかも、実際は同じだ、と分かっていたとしても、異なって見えてしまうし、何度連続して見たとしても、初めて見た時と見え方は変わらない。
栃木県日光市の「日光江戸村」という歴史テーマパークでは、錯覚を利用した「からくり屋敷」があるが、頭では分かっていても、目に入る光景は、その感覚と一致しないので、歩くだけで目が回ってしまう。
(ちなみに、このからくり屋敷には、ところどころ「非常口」があり、自分も非常口から逃げ出した)
本書の中にも錯覚が起きる図が多数、掲載されている。
中には、見ていて目が回ってくるものもあるので、その点では要注意。
この錯覚は事前の知識や、練習によっても防げない、人の知覚システムそのものに起因しているらしい。
どうやら「正確に認知する」よりも「素早く認知する」ことの方を優先しているようだ。
錯覚というと、それによるリスクが・・・、という事が思い浮かぶので、(多少)マイナスのイメージが先行してしまうが、一方でアニメやテレビ、映画に積極的に利用してもいる。
3Dテレビや映画では「酔う」人もいる。
進んだ技術に対して、人間の感覚が追いついていない。
ただ、錯覚のメカニズムがすべて解明されたとしても、他にも違う意味での「錯覚」がある。
それは「人は自分が望んでいるものしか見えない」
要するに「都合の悪いことは無視しやすい」ということ。
という上級技もありますね。
恋愛とかに。
恋愛とは、美しき錯覚・・・(笑)。
望んでいるものしか見えないまま、一生を過ごすことができた人は、
ある意味、幸せ者かもしれないわ(汗)。