Nicotto Town ニコッとタウン

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根っこ

うす曇りの
カンバスに
一羽の鳥が飛ぶ

男は銃を構え
一発 ドンッ
二発目を ドンッ

よろよろと鳥は
沼地に降り立つ

犬はすぐさま駆け出し
降り立った辺りに向かう

鳥はそこで
じっと待っていた

犬は鳥を見つけるが
しばらく見合ってから

男のもとへもどる

そして
男と共に
鳥の降り立った場所へ・・・

鳥はこちらの気配には
気が付いているが
まるで眠っているかのように
そこにたたずむ

男はふたたび銃を構えるが
狙いを定めたのち
銃をおろす

犬は男を見上げ
男も犬を見る

鳥は羽根をばたつかせ

羽根をたたみ

こちらをじっと見る

なにかを語りかけているように

言葉ではないなにかで・・・

犬はなにかを理解した

男は犬と鳥の様子をみて
なんとなく理解した

男は天に向かって
銃を構え

ドンッと
一発放つ

そして雨がポツリポツリと落ちてきた

男と犬はゆっくりとその場を離れた

鳥も男と犬を見送ると
ゆっくりと飛び立っていった

沼地に雨が
静かに降り注ぐ

男は歩きながら
なぜか泣いていた

なぜ涙がこぼれるのか
男にもわからなかった

手のひらで
涙と雨をぬぐい

ゆっくりと
歩いて行った

その日はもう
男は銃を構えることはしなかった

家に帰ると
男は火の前に
あぐらをかいて座り
うつむいて
また泣いた

今度の涙のわけは
男は理解していた

外の雨はあがっていた

月も星も風もない夜だった

まるですべてが繋がっているかのように

#日記広場:小説/詩





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