Nicotto Town



「死」と向き合う

エンジェルフライト 国際霊柩送還士
 佐々涼子
  集英社


海外で亡くなった日本人、日本で亡くなった外国人の遺体を家族の元に返す「国際霊柩送還」専門会社エアハース・インターナショナルの人々に密着したドキュメンタリー。

その業務の性格上、どうしてもきつい表現が多いので、万人に勧められる本ではないと思う。

その点を除いても(海外で死亡してしまうかは別にして)「死」は誰もが必ず経験(?)することだけに、そう何度も読み返せるものではない、と感じた。
(内容が不快という訳でなく、誰にでも起こる事で痛すぎるから)

以前読んだ、上野顕太郎の「さよならもいわずに」(ビームコミックス)を思い出した。
(感想:http://randokukanso.blog79.fc2.com/blog-entry-301.html)
こちらも同じ理由で、未だに読み返す「勇気」が持てない。

エンバーミング(防腐処理)の是非海外の遺体搬送ビジネスの「闇」にも触れているが、「死」とどう向き合うか、という話がメイン。
特に遺体搬送ビジネスの「闇」は、かなり深そうだ。
これだけでも、一冊の本になりそうだが、本書のメインテーマではない。

人は死んだ後、いつから「死者」になるのだろう?
客観的には「心臓が止まった時から」なのだろうが、残された側にとってはどうなのだろう?

心臓が止まったら、そこに「いる」ではなく「ある」になる、と簡単に割り切れるだろうか。
理屈では、もうその人はそこにいない、というのは分かるが、どうしてもまだ何かが残っているように思える。
と言うより思いたいのかもしれない。

だからこそ、国内・海外を問わず、事故や災害で亡くなった人でも、遺族はできる限り遺体を捜そうとする。
本書に出てくるエアハース社の人達も遺体と接する時は、生きている人と同様に接する。

前述の「さよならもいわずに」にも葬儀社の人に「何か形があった方が送り手の方が安心するものだ」と言われる件があったのを思い出した。
そのため、遺体や儀式という「形」が必要なのだろう。

そして、死者と向き合いやすくしたのが「エンバーミング」なのかもしれない。
人間の体を破壊する力を持つ技術が発達したという事と二人三脚ではあるだろうが・・・。

おそらく世界中に「葬式」という儀式があるのは、死んだ人のためであると同時に、残された側のためでもあるのだろう。
「死」を納得し、受け入れやすくするために。

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2013/01/10 23:19
心構えをしていても、きっと”その時”は何もできなくなってしまうのでしょうね。

この本で取り上げられた会社の人は、何も考えられなくなった遺族に代わり、本来の業務以上の事をすることも珍しくないらしいです。
・・・とは言え、(悪い意味でなく)こういう会社に世話になる必要がなければ、それにこした事はないのですが。
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2013/01/10 22:46
こんばんは^^
お返し訪問に伺い、ブログのタイトルが気になってお邪魔いたしました^^;

海外で亡くなった日本人・・・現在父や従姉妹が海外に居住し、
弟も海外赴任もある職業なので他人事ではない話なのですが、
その事について真剣に考えていなかった、考えたくなかった私です><。
少し心構えをしておかなければいけないと思いました。
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2013/01/07 23:04
>ひなたさん
祖母の葬儀の時を思い出しましたが、やはり何かの「区切り」にはなったという感じはしました。
49日とか、年忌法要とかも、徐々に悲しみを癒すという意味があるのかもしれません。

>カトリーヌさん
それは、もう「人間」と呼んでいいのか、という話もありますね。
クローンも何度も繰り返すうちに、ほんの僅かに違ってきたりしたら・・・。
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2013/01/06 23:37
もし、生前の人の細胞をサンプルしておいて、冷凍保存。
その人の死後、保存しておいた細胞からクロンニングして、
生前の人とそっくりの人ができたら、
その人を、生前の人と同じ生命の連続上の人物とするのでしょうか?

もし、生前の人格を機械の上に転写して、
その後、肉体は死を迎えたとしても、今度は、その機械上の人格を、
その人と認めることになるのでしょうか?

死と生の問題は、医学・科学の発達とともに、再考されます・・(汗)。

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2013/01/06 22:29
昨年 実家の父が亡くなりました。
葬式と言うものは 本当に 残された者のためにも あるものなんだと感じました。
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2013/01/06 20:58
いい本を紹介してくれて、ありがとうございます。
豆柴さんの感想は薄っぺらなどではありませんでしたよ。
現にこうして、その感想を読んで本を手に取ったので。

ところで、受験生になるのですね。がんばって下さい。
戻ってきた時、また話ができたらいいですね。
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2013/01/06 09:47
紹介した本を読んで下さって ありがとうございます
やはり 私の薄っぺらな感想とは まったくちがいますね・・(感動)

いきなりですが・・ 豆柴 今年受験生になります
勉強に本腰入れるために 退会することになりました
Tuckerさんとは もっと お話したかったです・・;;

今までありがとうございました
戻ってきたとき どこかであったら また・・
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2013/01/05 21:41
遺品整理をやる会社もあるそうです。
以前、「私の遺品お願いします」という、遺品整理会社の社長の本を読んだことがあります。

そこでは、見積りサービスもやっていましたが、ほとんど話し相手か、「終活」の相談役みたいな感じになってました。
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2013/01/05 20:35
「死」に関する仕事って、本当にいろいろあるんですね。



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