海は広いな、大きいな 怪物は潜むし、船は沈む
- カテゴリ:日記
- 2013/01/13 23:16:26
「滅びし獣たちの海」
星野之宣
幻冬舎コミックス漫画文庫
海が舞台の短編5編からなる。
「レッドツェッペリン」
「鯨鬼伝」
「アウトバースト」
「罪の島」
「滅びし獣たちの海」
「アウトバースト」のみ海は関係なし。
星野之宣と聞くとSFを思い浮かべる人が多いだろうが、これらの5編はどちらかというと「宗像教授」シリーズのテイストが強い。
印象に残ったのは「鯨鬼伝」「アウトバースト」「罪の島」の3編。
「鯨鬼伝」
江戸時代、捕鯨の村であり、村民全員が隠れキリシタンでもある村に漂着した西洋人の話。
漂着した西洋人は宣教師らしいが、ある特定の鯨を見た時、何かに憑かれたようになる。
それには理由があるのだが、明かされるのはラストの一コマ。
そこで初めて、それまでの伏線が明らかになり、「鬼」とはそういうことか、とわかる仕掛けだが、「あの作品」の「あの人」の名を知らないと「?」となってしまうのが難点。
有名な話なので、名前くらいは聞いた事がある、というのも多いだろうが・・・。
「アウトバースト」
南米で新たに発見された古代都市を巡るブラックな物語。
「宗像教授」シリーズ+「ホットゾーン」(リチャード・プレストン)という感じの作品。
「森の神の復讐」の方法がゾクッとする。
こんな方法を取られたら、防ぎようがないから・・・。
「罪の島」
船が転覆し、乗客・乗組員の一部は近くの島に命からがらたどり着く。
そこは、かつて収容所だったようだが、今は誰もいない。
研究施設跡もあったが、そこで研究されていたものは・・・。
ラストのモノローグがグサリとくる。
「人間は罪を小さな島に封じこめて忘れ去ろうとするかもしれない。
だが、罪は人間を忘れない。
それは永久に我々を告発し続けるのだ」
”小さな島”の部分を入れ替えれば、戦争・公害病・原発事故など、何十年も引きずるような問題の事とも考えられるから。
・・・とか言いながら、星野作品を読むようになったのは「星を継ぐもの」の少し前くらいからですが。
小学館の単行本を購入しました。
文庫版はあまり力を入れてないようです><
上記5篇+宇宙ものが1篇ありました。
最初にうっかり適当に開いてしまった頁から、
ぐぐっと引き込まれてしまいました。
他の作品も楽しみになりました。
入手しにくくなっていた漫画が文庫で再販されていたりするので、その点は重宝してます。
ところで、永田町にも「罪」を忘れようと熱心な人たちがいますね。
手を伸ばした事がありません。
痛いモノローグですねえ…
収録作品が少し違うかもしれませんが・・・。
ところで、NHKのダイオウイカの番組は、かなり評判良かったらしいですね。
ワタクシ、この方の作品は読んだことないので、
書店を探して、立ち読みしてきます~(汗)。
海は、いつの時代でも、謎多き存在なのでしょうか。
怪物や神秘が潜む場所なんですよね。
昨日も、NHKでダイオウイカの実写をやってました(汗)。