Nicotto Town



「夜の改札口にて」

深夜の駅。
今日もアタシは改札口の前に立っている。
汽車の到着には間があるのか、改札はまだ閉じたまま。

手の中の切符をもてあそびながら、アタシは汽車を待つ。
たぶん昨日とは違う切符。
行き先は・・・知らない。

やがて、汽車の到着を告げる声とともに、駅員さんが改札を開ける。
はさみを手にした駅員さんがアタシを促す。
アタシは・・・動けずにいた。

不意に後ろから声をかけられる。
アタシは、頭を下げながら脇によける。
アタシの後ろには、いつの間にか、たくさんの人が並んでいた。

男の人や女の人、歳をとった人に、まだほんの子供もいた。
みんな、物静かに改札を抜けてゆく。
そして、汽車が到着する。

人々が、やはり声もなく乗り込むと、汽車はベルの音もなく、再び走り出す。
アタシの目の前で、改札が閉じられる。
アタシは・・・今日もこちら側だった。

駅を出たアタシの足下に、小さな子猫がよってくる。
「なに?お腹空いてるの?」
いつもと同じように問いかける。

「にゃあ」
と、いつもと同じ返事が返ってくる。
あたりまえだ、ねこだもの。

子猫とお弁当を分け合いながら、アタシは思う。
「きっと、この子がいるから、アタシは汽車に乗らないのだろう・・・」
そう、自分に言い訳をした。

#日記広場:30代以上

アバター
2013/01/23 21:09
今晩り~ん~♪

何か…ふ、深~~いお話ですね~色々考えさせられました~
自分人生の転機で、新しい自分が、恐くて…現状に留まってる人なのか…
逆に…列車に乗ったら~あの世行きで…(ウルトラQの最後にそんな話があったよね~)
まだ、自分の人生に未練が、あるから~留まったのか…
面白いお話でした。ちょっとドキドキしました^^
アバター
2013/01/23 18:34
わたしも 読んで ちょっと怖い想像を してしまった。。

想像は 膨らむ。。。
アバター
2013/01/23 17:16
ここでわないどこか〜症候群になったら。。。さぶ〜〜い最果ての地へ行ってみればイぃ〜んでないべか!?
今居る所に帰りたくなる〜^o^;
アバター
2013/01/23 14:50
はじめまして。広場から来ました。ヒロユキです。よろしくお願いします。^^
アバター
2013/01/23 12:43
死者の国へ行く汽車かと思いました。
子猫は自分の赤ちゃん。
自殺を思いとどまったということですね。



月別アーカイブ

2025

2024

2023

2021

2020

2019

2018

2017

2016

2015

2014

2013

2012

2011


Copyright © 2025 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.