「僕」
- カテゴリ:自作小説
- 2009/07/24 18:37:44
夢は僕で、僕は夢だった。
僕たち2人(?)は一心同体で、信じ続ければいつか夢はかなうと分かち合い、世界中の誰よりも打ち解けていた。
幼い頃の僕の、いつも心の中にあった幾つもの夢。
パイロット、消防士、駅長、サッカー選手、医者、カメラマン……。
それはクルクルと歳を重ねては変わっていったけど、其れで良かった。
形を変える夢は、万華鏡のように一度たりとも同じ輝きを放つ事は無く、僕をいつも満足させていたからだ。あの美しさはいつも僕を魅了した。
だけど、現実をだんだんと知っていった今の僕には夢が無い。
常識や義務、プライドや世間体を気にする世界にいれば、そのうち
全てが色褪せて見えてくるものなのだ。
どうしたものか。
どうもしなかった。
ただ、普通のサラリーマンにでもなり、安定した収入があればそれで結構。
僕の小さな頃の大きな夢の数々は、今じゃこんなにも萎んでいた。
明日は上京、という日の夜。
整理した机の引き出しの奥から、小学校の卒業アルバムが出てきた。
こんな所にずっと仕舞ってたのか。何を思ってこんな汚かった場所で保管していたのだろう。過去の自分の行動に呆れる。
埃をかぶった表紙を見れば、懐かしさがこみ上げてきて、ページを開く。
小学校時代の僕を写した写真を見て、周りからの寄せ書きを見て、最後に載せられている僕たちの卒業文集を見た。テーマは「10年後の僕・私」ちょうど、今の僕に当たる。
過去の僕は、まとまりのない作文の最後にこんな事を書いていた。
「10年後の僕は、きっと夢をかなえるためがんばってるはず」
御世辞にもうまいとは言えない、明らかにその年頃の男子が書いたような字。それでも、へたくそなりに真剣に書いたその一文に心を打たれた。
今の僕は、頑張っているのか?
自分の中で問いかける。
上京するのは、就職先の幅を広げるために受けた大学に通うため。
それを、10年前の僕は「夢をかなえるために頑張ってる」とは言わないだろう。
そっと、アルバムの表紙を閉じる。
「頑張ってみるか」
明日上京する、まだまだ若い僕に。
10年前の、まだまだ夢見がちだった僕に。
誓いを立てた僕はアルバムを元あった場所に仕舞った。
ありがとうございます。
みかのさんのしも、素晴らしいですよ。憧れます。
お互い頑張りましょうね♪
感性とか、まとまりとか、すごいなあっていつもおもいます。
わたしも小説とか、いっぱい書いとけばよかったなあ。。
詩は書いてたんですけど、小説は書かなかったんですよね、あんまり・・。
やっぱり若いときにしか書けないことってあるし、
どんどんスキルもアップしていくとおもうんですよ。
わたしも「頑張ってみるか」とおもいました。゚(。pдq。)゚。