ウナギがレッドデータに掲載
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- 2013/02/02 05:53:57
環境省報道発表資料 http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=16264
特に驚く事の程でもない……かな?と、いうのは、淡水魚の生息環境の悪化が解消されることもなく続いているから。
10年ほど前の前回の改訂の時もメダカが掲載されたことによって、大きくニュースに取り上げられたけど、その後、淡水魚を取り巻く環境が大きく改善されたという話は、哀しいほど聞こえてこない。ならば、データが蓄積されたことによって、身近な種が新たにレッドデータに掲載されたといって、(私は)全く驚かない。
さて、今回の発表で記になることがいくつか挙げよう。
まずひとつは、これによるウナギ(飲食)業界の反応。
私がいま住んでいる地域の地方紙の報道によると、地元のウナギ(飲食)業界の反応は「見守ることしかできない」というものだった。
これはおかしくないか? どこまでも他人任せで。
私達が口にするウナギの殆どは養殖モノである。しかし、その元となるシラスウナギは完全に天然由来のものである。つまりは、完全に天然モノに依存しているわけだ。それなのに、全く危機感を持つことのできない、当事者意識を持たないウナギ(飲食)業界というものには、失望せざるを得ない。
「ウナギの研究をできるわけではないが、ウナギを絶滅からすくために、私達にも何かできないか考えてみたい」ぐらいのことは言えないものだろうか。
もう一つは、絶滅の危機に瀕したということで、対策としてすぐに挙がってくるのが、「増殖」である。
「増殖」自体が悪いわけではないが、「数だけを増やせばイイ」みたいで、私は危うさを感じる。
何故なら、メダカの時も感じたことであるが、生息数が減ったのは生息環境の悪化が大きく影響しているからだ。なのに、その点の改善を図らずに「数を増やせばいい」ということになってしまう、短絡さが怖いのである。
確かに、ウナギの場合、遡上してくるシラスウナギを乱獲したことによる次世代生産のためのウナギの現存量(=野生ウナギの生息数)が減ったということもあろう(てか、それが主因だと思う)。だから、増殖のための手立てを講じることで、かなりの部分は改善されるかもしれない。しかし、シラスウナギの再生産の源たる野生ウナギの生息環境を改善しないまま、ウナギの漁獲量だけを増やしても意味が無いのではなかろうか。
メダカの時も、農村部や淡水魚愛好家から「ふるさと小包」でメダカを配布しますなんて動きもあったが、これは遺伝子のかく乱を助長するし、なにしろ、前述の理由のとおり、生息環境の改善が全くないということからなんの意味もないものだと私は考える。
「漁獲量が減ったから、放流数を増やす」みたいに、「生息数が減ったから、増やして放せばイイ」という訳にはいかないというのが、この問題の難しいところであろう。
私は、「数の問題」でなく、「質の問題」だと考えるのだが、いかがか。
しかし、天然モノをありがたがるという日本人の精神性からして、養殖に抵抗があって、完全養殖が技術的に可能でも、全面導入は難しいでしょうね(費用対効果的に難しいのも事実でしょうけど)。肉や野菜で受け入れられていることが漁業では受け入れられないのか、不思議に思う所でもあります。
とは言え、サケやアユのように放流だよりになるのも、遺伝子の画一化(逆に言えば、地方の固有の遺伝子のかく乱)の懸念とか、サケのように大漁放流の結果、遡上してくる奴らが小型化しているという事実とか、(個人的見解ですが)生息環境の保全に目を向けなくなるとか、安直に養殖に頼る姿勢に問題もあると思うんですがね。
どこかの完全自動化されたプールか何かで、
卵から稚魚をかえし、成魚になるまで一貫養殖とか。