Nicotto Town



黒猫目日記66 (ガーデニングイベント コハル)

うららかな日差しの暖かい日じゃ。まさに小春日和と云うにふさわしい。
こんな日には庭仕事もはかどる。掘り返した土の中からまだ眠たそうなカエルが顔をのぞかせている。
いつまで寝ておるのじゃ、もう啓蟄じゃ。起きる時期じゃぞ。
シロツメグサは春の花、もう少し暖かくなると蜜蜂が蜜を集めにやって来るなぁ。などとつらつら思いながら作業をしておるとふと、視線を感じた。
振り返ると木のカゲから小さな顔が覗いている。

おや?あれは広場の風呂屋の子ザルではないか。たしか名前はコハル。
日差しに誘われて遊びに参ったのか。こっちにおいで花をやろう。

コハルはモジモジしながらそばに寄ってきた。小さな手に何かを持って差し出してくる。
これは何じゃ?さくらんぼではないか。其れがしに呉れるのか?
小さく頷いたこはるは、さくらんぼを其れがしに渡すとはにかみながら木陰に消えていった。
おやおや、行ってしまった。

二つ並んだ赤い実が艶やかで実に美味そうじゃ。
残った種は庭に蒔いておこう。もしかしたら芽が出るかもしれぬ。

白い日差しが柔らかく差している。
何やら、ほのぼのとした春の精に出会ったような気がする。





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