飛梅
- カテゴリ:小説/詩
- 2013/03/08 08:25:17
小寒い時期に
花をつけた梅は
桜ほど華やかでもなく
人目にはつかない
かぐわしいその香りも
ひっそりと流れ
それを知る人だけが
枝の先に歩みを止める
あぁ この梅が
私の心を乗せて
あなたのもとへと
飛んでいけたら
かつて九州まで飛んだ梅が
この梅達ならば
想いを運んでほしい
その枝に乗せて
やがて暖かくなると
桜にその季節を譲り
また来年へと
眠りにつく梅よ
はらはらと花弁を落とす
桜たちの裏で
ひっそりと眠る梅達は
また飛ぶ季節を待っている