Nicotto Town



黒猫目日記67 (タウンイベント こはる温泉)

風呂屋のご主人はニコット山の奥で宿を営んでおったそうな。
ニコット山は雪深い山じゃ。いかにも秘湯が有りそうだが、普通の人が通うにはいささか不便なような気がする。
実際、客足が減ってしまって街に支店を開いたとご主人が語っておった。
広場の大穴はやはり露天風呂であったようだ。

ああ、露天風呂(うっとり)里で猿や熊と一緒に浸かっておった時のことを思い出す。
冬には舞い散る雪、春には花びらが湯船に降りかかるのを眺めながら時には月や星の光を浴びてゆったりと浸かる至福の時。

しかし、折角の温泉も湯が出ないのではどうにもならぬ。その時、一羽のアヒルが近づいてきた。
「ダーさんって者だが、こはるたちが困ってるんだ。助けてやっちゃーくれねーか」
む、助けるとは何をすれば良いのか?

温泉の淵には黄色い大きな手押しポンプが据え付けられ大勢の人が湯を汲み上げていた。
なる程、これで湯を汲み上げるのかどれ、どれ、

ギーコギーコ、ザザー ギーコギーコー、ザザー
これはなかなか大変な作業じゃぞ。結構沢山ポンプを押したがそんなに湯は溜まっておらぬ。
しかし、この街の人々は露天風呂を楽しみにしておるようで次から次にポンプを押しに来る。
うむ、人海戦術じゃな。これならそう遠くない日に湯が満杯になるじゃろう。
微弱ながら其れがしも毎日お手伝いに参ろう。

湯が溜まったら姫をお誘いしよう。ああ、温泉の完成が楽しみじゃ。





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