Nicotto Town


みっちょん恋愛の詩


春の忘れもの


2階にあるお気に入りのカフェで
ぼんやりと外を眺める
本当は眺めてなんかいないで
目は宙に浮くばかり
漂うように空気を眺める


ここは私の席
向かいがあなたの席
朝早いカフェに人は少なくて
カプチーノのシナモンの香りが
辺りに漂って行く


春間近のガラス越しの歩道は
薄いコートに変えた人たちの
軽い足取りの鼻歌が
ここまで聞こえるよう


私はそっとあなたを見る
笑顔で返す瞳は
優しくて
愛嬌があって
暖かくて


でも あなたはいない
カフェの奥が見えるだけ
いつもいたあなたが
なぜいないのか
そんなことはもう忘れた


今日もぼんやりと外を眺めている
小雨に傘の花が舞う
また一段 春の女神が降りる
何か忘れものをしたように
あなたに頬笑みを返す




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