夜桜
- カテゴリ:小説/詩
- 2013/03/30 09:07:02
夜桜がきれいと言うけれど
ライトアップされていないと
それはほとんど見えなくて
手を伸ばして
その小さなひとひらの
感触を味わう「
春は毎年くるけれど
桜は毎年咲くけれど
人の心はそんなんじゃなくて
毎年変わっていく
寂しさ あかるさ 暖かさ
揺れあっている
以前の花は
あなたと一緒に味わった
あなたは離れて行った
遠い遠い故郷に
いろんなことがあって
自由がきかない
「こっちで結婚することになった」
あなたからの短い手紙
住みかを変えていたから
転送されてきた
その時間の長さを
つきつけられる
今年も小寒い夜に
暗くて見えない桜の道を
ぼんやりと歩く
その花びらを手にして
もう感じていない
でも思い出した彼を
愛していたあのころを
ありがとうございます。
咲いて桜、散って桜。
まるで恋のようですね。
さくらんぼのように実るといいのにね。