WATARIDORI
- カテゴリ:日記
- 2013/04/06 14:32:19
渡りの足跡
梨木香歩
新潮文庫
渡り鳥をテーマにしたエッセイ。
北からやってくる冬鳥を訪ねる旅行記でもある。
各章の最後にその章で登場した鳥の説明が載っているが、名前から姿が思い浮かばないと十分に楽しめない部分も一部あるので、図鑑があればそれで、なければネットで鳥の姿を確認しながら読んだ方がいいかもしれない。
例えば、ツメメドリとエトピリカを紹介している部分。
ツノメドリ:
「どうにもこうにも困り果てた、というようなその表情」
「ただひたすら困惑している。まいった、という風によめる」
エトピリカ:
「はっきり迷惑しています、と断言しているようである。だが、積極的に怒っている、というほどではない。」
「こちらでできることがあるなら何かいたしますが、と思わず手を差し伸べたくなるような」
表現だけでも面白いが、写真で姿を確認すると、笑い出してしまいそうになるくらい、この通りだった。
本書は渡り鳥の話が中心であるが、渡り鳥が縁で知り合った人の話もいくつか登場する。
その人との触れ合いを単純に楽しめるものもあるし、重い話も。
このあたり一筋縄ではいかなかった。
話は変わるが、本書を読んでいて、2001年のフランスのドキュメンタリー映画「WATARIDORI」を思い出した。
その中で空を飛んでいる鳥たちは、
「優雅に飛んでいる」
というより
「羽ばたいていないと落ちてしまう」
という感じで飛んでいた。
読んでいる時は、そんな鳥たちの姿が思い浮かんだ。
もう一度、「WATARIDORI」を見てみよう、と思う。
ところで、毎年、渡り鳥を見る度に思うことがある。
白鳥などの大型の鳥ならまだしも、ツグミやツバメのように比較的小さな鳥は、一体、どこに長距離を移動する力を持っているのだろう?
休みなしで一気に飛んでくる訳ではないにせよ、あんな体のどこにそんな力が?
それに、渡りを始める時と、帰る時は何がきっかけになるのだろう?
「ここが目的地」というのは、明確に認識しているのだろうか?
一度でいいから聞いてみたい。
この本の紹介文には
「この鳥たちが話してくれたら、それはきっと人間に負けないくらいの冒険譚になるに違いない」
とあるが、「人間に負けないくらい」どころの話ではないだろう。
今の時期、冬鳥の大半は北へ帰っている。
のんびり組のコガモなら、まだ日本にいるだろう。そして、もう少ししたら、今度はツバメがやってくる。
彼らを見かけたら、肩でも揉んであげようか。
鳥たちが人間の飛行機の仕組みを理解したら、
きっと腹を抱えて笑うのでしょうね。
彼らは、温血動物の中では、最も代謝スピードが速く、
肺でのガス交換の効率が、かなり高い種として知られています。
飛びながら、連続的に呼吸をする事もできます。
(↑言い切った(笑))
疲労の蓄積を防ぐ仕組みは知りませんでした。
それに(おそらく)「燃費」のいい仕組みも持っているのでしょうね。
やはり、渡り鳥には聞いてみたい事がたくさんあります。(笑)
翼の付け根かなぁ・・・(汗)
渡り鳥が長時間、長距離を飛行可能なのは、
彼らの筋肉中には、特殊なペプチド(アミノ酸が数個結合した物質)が含まれており、
これが疲労蓄積を、防いでいるからだという研究があります。
ハチの中にも長時間飛行できる種がおり、これも同様のペプチドによる効果だ、
という研究も有ります。ただ、これらペプチドは種によって少しずつ異なり、
いわゆる種特異性があるようで、人間への効果はイマイチのようです。
「ニルスの不思議な旅」は昔、好きでした。懐かしいです。
ところで、鳥なら空から見た地形とかで目的地も分かりやすそうですが、鮭だと、どうやって帰る場所が分かるのか想像しにくいですね。
(ニオイだという話ですが・・・)
>ラムセス2世さん
話を聞きたい、という気もしますが、無駄に話が長い鳥を選んでしまったら「悲劇」です。
考えてみたら、鮭なんかも。。。大変そうですよね~。
それどころか、渡り鳥が鳥インフルエンザの運び役になってしまうこともあります。
鳥には、
「伝染したら、日本には入って来ないでくれ」
と言っても通じないのが、悩ましいところですね。
渡り鳥さんに うつってしまうこと
あるのでしょうか・・・
(なくても聞いてみたくなりますが)