Nicotto Town



覚悟

憲法九条を世界遺産に
 太田光・中沢新一
  集英社新書


最近、憲法改正に関する話題がニュースにならない日はない。
くわえて、今日(5/3)は憲法記念日という事もあり、随分前に買った本書をひっぱりだして読んでみた。

お笑いコンビ「爆笑問題」の太田光と哲学者、中沢新一の2人が日本の憲法を宮沢賢治(の思想)を鏡として考えてみよう、というもの。

なぜ、宮沢賢治か?
それは宮沢賢治は「銀河鉄道の夜」「風の又三郎」「セロ弾きのゴーシュ」などの作品で、動物や自然を愛し、命の大切さを語った作家であると同時に田中智学(「八紘一宇」を謳った)や石原莞爾(満州事変の黒幕)の思想に傾倒もしていた。

この事については、「寄り道」として触れたがらない研究者がいる一方で、中沢新一は、この2つは深い所でつながっていると考えているため。

本書の中の言葉を借りると
「彼(宮沢賢治)の作品の中には正義や愛があふれているけれど、正義こそが結果として人を殺す思想にもつながっていく。
そこを深く見つめなおさないと、もう一度同じことが起こると思うんです。」

本書が発行されたのは2006年8月。小泉総理(当時)が安倍氏を次期自民党総裁に選んだのが2006年9月。
ちょうど、この頃、太田光は日本テレビ系で「太田光の私が総理大臣になったら・・・秘書田中」をやっていた。

この時も改憲論が取り沙汰されたが、小泉総理(当時)の後に総理になった安倍氏への「逆風」の中、いつしか立ち消えに・・・。
そして、自民党が政権を取り、安倍氏が総理になった事で、今また、改憲論がにぎやかになってきた。

が、今回、違和感を覚えるのは、改憲そのものより、その手続きに関する話題が賑やかな点。

改憲手続きのハードルを下げよう、というものだが、それに賛同する人たちから、それが意味する事や将来に与える影響の話は聞こえてこない。
特に政治家は「次の時代」を考えるのが仕事のはずなのだが・・・。

それから、今の改憲論者たちの言葉を聞いていると、「銀河英雄伝説」(田中芳樹)に出てきた扇動政治家ヨブ・トリューニヒトとその(実質的な)私兵集団「憂国騎士団」のことが頭をよぎる。

つまり「実際に銃を手に取り、最前線に行くのは自分以外の誰か」という前提でモノを言っているように感じられる。
要するに「自分の事としての覚悟」があるとは、あまり思えないのだ。

ところで、本書のタイトルでもある「憲法九条を世界遺産に」というのは、半分冗談でもあるが、半分は本気。

日本の憲法は戦争していた日本とアメリカが、戦争が終わった途端、「合作」で作った憲法で、「突然変異」的なものであり、「珍品」でもある、という。
だから、「おかしい」ではなく「貴重」なものなので、世界遺産にして守ろう、という話になったのだ。

ただ、仮に本当に世界遺産になったとしたら、何か不都合が生じたとしても、守り続けなければならない、ということになる。

太田・中沢両氏は、このようにも言う。
「日本国憲法を守っていくには、相当な覚悟と犠牲が必要になるということも忘れてはいけない。」

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2013/05/06 12:56
最近、改憲派の人たちの論法が
「バカボンのパパだから、パパなのだ」
と同じで
「憲法を変えたいから、変えたいのだ」
という風に聞こえるようになってきました。

自衛隊を軍事力に使いたい人は、平隊員になる、となったら、「代返」が多くなったりして・・・。

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2013/05/05 23:40
>「日本国憲法を守っていくには、相当な覚悟と犠牲が必要になるということも忘れてはいけない。」

そして憲法を変えることは、守ることよりもはるかに強い覚悟が必要なはず。
自衛隊を軍事力として使いたがる方にはご自身が即座に「平」隊員となって、
訓練に励んでもらいたいものです。
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2013/05/04 20:34
>しょこんさん
戦争は外交のヘマを国民に押し付けてるようなものですね。
そのヘマをした張本人は、安全な所から威勢のいい事を言うだけ・・・。

「次の選挙」の事ばかり考えないで、「次の時代」を考えて、どのような外交をすべきかを考えて欲しいです。
・・・というか、「次の選挙」の事ばかり考えている人を当選させないようにしないといけないですね。

>カトリーヌさん
柔軟すぎて、本質を忘れて欲しくないですね。
サッカーを面白くするため、と言って、選手全員が手を使えるようにルールを変更したら、それは、もうサッカーではないですから・・・。
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2013/05/04 11:53
そのうち「日本国憲法」は、有名無実になる気がします・・。

奈良時代には「大宝律令」、鎌倉時代には「貞永式目」、江戸時代には「武家諸法度」、
明治時代~戦前には「大日本帝国憲法」と、
立派な”憲法”に相当するものがあったけど、キチンと守られた事がありません(汗)。

その時の状況に合わせて、適用したり無視したりするのが、
ニッポンの二千年の伝統のようです(苦笑)。
ある意味、規則に囚われない”柔軟”な態度といえるかもしれないわ(笑)。
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2013/05/03 23:53
自らの国民を守るという目的のためにならば外国に行って人を殺しても良いという?でしたっけ。。
そんなことを可能にする憲法改正??のために
政治家などが時間や労力等の様々なモノを費やすことは
自国民全体にとってあまり好ましい方法ではない様な気がいたしますね。

自らの国民を守るために国民のうちの誰かが
武器を手にして他国の国民を傷つける事以上に
自国民を守るために有効な手段を考えて行う事こそ
価値のある政治家のお仕事デハないでしょうかね?



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