Nicotto Town



マニアックな偉人伝

栄光なき天才たち 2010
 森田信吾


実力はありながらも、運に恵まれなかったために陽の目をみなかった天才達を描いたマンガ。

悲運の騎手、福永洋一
元「伝説の打撃コーチ」の高校教師、高畠導宏
「イグ・ノーベル賞」の生みの親、マーク・エイブラハムズ

福永洋一は、自分の個人的な「天才」の定義に近い。
競馬のレースに関しては、他の追随を許さないが、周囲の人との対人関係においては、何かが抜け落ちている感じがする。
(もしかしたら、マンガの演出上、そうなっているだけかもしれないが)

彼の息子も騎手になったが、その言葉が印象的。
「父の背中を追って来たが、近づくにつれて、遠ざかった気がする」


高畠導宏は、ケガに泣かされ、選手としては開花しなかったが、その後、打撃コーチに抜擢され、「伝説」とまで呼ばれるほどのコーチとなった人物。
「教え子」は、野球に興味が無くても、聞いた事があるであろう名前がズラリと並ぶ。

コーチとしての経験から、心理学、カウンセリングに興味を持ち、最終的には教師になる。
そして、甲子園優勝を目指すが・・・。

1986年にヤングジャンプで連載されていた時もそうだったが、悲しい話なのに、不思議と読後感は爽やかだった。


この巻では、唯一、「栄光なき」ではないマーク・エイブラハムズ
ノーベル賞は受賞者が発表されても、その研究内容に関しては、よく分からない事が多いが、イグ・ノーベル賞は、それと対照的である。

イグ・ノーベル賞が作られた当初は、「科学をバカにするもの」と一部で反発を招いてしまう。
が、「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」に与えられるのがイグ・ノーベル賞である。

その理念は次第に理解され、さらに一部で反発を招いた事が逆に宣伝にもなり、イグ・ノーベル賞の名は広まっていった。

おそらく選んでいる本人たちが、一番、楽しんでいるのだろう。

アバター
2013/06/25 21:41
この巻だけでなく、このシリーズ全体がそうですが、取り上げられる人達が、自分の「仕事」を実に楽しそうにやっているのが、爽やかな読後感に繋がっているのかな、と思います。
アバター
2013/06/24 01:12
栄光に恵まれなくとも、
有意義な人生を送れたなら、それもまた幸福なのかも(微笑)。




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