矛盾を抱えた大変人
- カテゴリ:日記
- 2013/07/14 22:06:16
ジブリの教科書1
風の谷のナウシカ
スタジオジブリ×文春文庫
「宮崎駿」の名前を聞いて、その顔か、作品名が出てこない人は、ほとんどいないであろう。
その「宮崎駿」の名前を一躍、有名にしたのは「風の谷のナウシカ」だと言える。
その「ナウシカ」の製作裏話(平たく言えば、当時のドタバタぶりの暴露)と、アニメとは全く関わりのない評論家、作家などによる「ナウシカ」の論評から成る。
前者だけなら内輪ウケの話だけになるので、ファンの間では盛り上がるだろうが、そうでない人には全くチンプンカンプン。
後者だけだったとしたら、堅苦しいし、時に的をはずした論評が掲載される始末になる。
(実際、ある人の論評での王蟲の解釈には、「?」となってしまった。
ただ論者自体、専門外ではあるので、「ご愛嬌」といった程度のもの)
両方が一冊の本にまとまっているのは珍しい、と思ったので手に取った。
(それ以上に「宮崎駿」「ジブリ」のブランドネームにやられたのだが・・・)
ナウシカのモデルと言われている、「堤中納言物語」の「虫めづる姫君」と「オデュッセイア」の「ナウシカア」が登場する一篇まで収録されているのが面白い。
「風の谷のナウシカ」は「宮崎アニメ」ではあるが、スタジオジブリが作ったものではない。
スタジオジブリは「ナウシカ」公開後に、設立されたのだ。
そのせいか、前半の裏話的な部分では、会社組織に囚われない、かなり自由な雰囲気が伝わってくる。
もちろん、宮崎駿をはじめとして、中核となるスタッフはほとんど(同じ会社ではないが)会社組織に所属している。
が、それぞれの持っているエネルギー量が大きすぎるのか、はみ出している感じがする。
「○×会社に任せよう」
ではなく
「○×会社の△△さんに任せよう」
なのだ。
大袈裟に、カッコよく例えるなら「水滸伝」で梁山泊に集まってくる人物達のよう。
そして、その中心にいる宮崎駿という人物は、かなりの「変人」
「監督」である前に「作家」である、という感じの人。
「ナウシカ」で、実際にセル画などの作成を行った会社のスタッフは、映画の公開後、ほとんどが辞表を提出する、という事態に陥ってしまったそうだ。
宮崎駿という人物は、かなりの「変人」らしい、というのは薄々、感じていたが、ここまでとは思わなかった。
が、そうでなければ、ここまで有名な監督にはならなかっただろう、とも思う。
また、「変人」であると同時に、かなりの矛盾を抱えた人でもあるらしい。
「ナウシカ」の企画の際、会社から「原作のないアニメはリスクが高い」という旨の事を言われて、まず「ナウシカ」のマンガの連載を始める事になった。
が、「マンガを描くなら、マンガでしか表現できないものを目指す」と、映画にする事を忘れたかのような事も言い出したとか。
結果、「ナウシカ」は映画版とコミック(全7巻)版の2種類、存在することになった。
映画版はコミック版の2巻目までの内容と言われているが、ほぼ別物と思った方がいいらしい。
(コミック版は読んだ事がないので)
論評も、映画版を踏まえて述べているものと、映画版とコミック版を一緒に語っているものがあるので、知らないと「?」となるかもしれない。
コミック版について、断片的な情報であれば、ネットにも転がっている。
が、やはりコミック版の内容が気になってしまう・・・。
ただ、年齢の設定が16歳。
こんな16歳がいたら・・・。
積読の山も気になりますが・・・。
そんな驚愕の最終巻なのですか(-_-;)
読んでみたいような怖いような。。。
(この本でも一部ネタバレしてますが)
積読を増やすか、読んでモヤモヤを晴らすか・・・。
ナウシカのコミック版、最終編では「ええ~っ、ナウシカどうしちゃったの~~?!」
という驚愕の展開。映画版とまったく別物。
あれほど生命を愛し、王蟲にさえも愛を注ぐほどのナウシカが、
最終編では、激怒して大殺戮を・・(汗)。
ま、読んでみて下さいませ・・。
ワタクシは、昨年の夏、
特撮映画の魅力に関する展示が、東京の某博物館であった時、
ナウシカの最終版を、即売コーナーで売っていたので立ち読みしました~(汗)。
この話は、昨年のニコタブログにも書いてあります(微笑)。