Nicotto Town



黒猫目日記93 (盆踊り大会其ノ三)

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広場にまた新しい櫓が建っていた。
今回は至って普通の盆踊りの櫓であった。

そういえばそれがしの家の庭にも櫓があるが、それとよく似ている。
拙宅の櫓は銀行のサービスの一貫で建てて頂いた。
そのせいか賑やかしに踊ってくれているのは銀行職員か警備会社の方々のように見受けられる。
お勤めとは言えこの盆の時期お休み返上でお出まし頂きご苦労なことで御座る。思わず頭が垂れる。(_ _)

それは兎も角、櫓の前で暫し踊りを楽しんでいると突如ドーンと大きな音が鳴った。
思わず空を仰ぎ見た。
花火だ!
盆踊り会場の空に大輪の花が開いて消えていった。
なんとも美しい。
広場の人々もしばし陶然と夜空に咲いた炎の綾を眺めていた。

ひとしきり祭りの喧騒を楽しんだ後、家路についた。家に入ろうとした瞬間また、ドーンと腹に響く音が聞こえた。
やや!ここからでも花火が見えるのか(°д°)
夜空にさいた巨大な金魚・・・・・・金魚?
飾り花火か!
夜空に見事な金魚が泳いでいる。
鮮やかに空に浮かんだ金魚はやがて薄れて消えていった。

ふと、足元に目をやると空より落ちた花火の欠片がふわふわと漂っているように見えた。
蛍か・・・・・・
いくつもの朧な光が灯って庭を漂っては消え、消えては現れる。

天と地と二つの光の共演に時を忘れて見入っていた。
何とも風雅で贅沢な時間であっただろうか。


庭では櫓の上で銀行職員殿たちが一心不乱に踊って居られた・・・・
あの、・・・もう遅いんでお帰りになられたら如何でしょう・・・・





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