紅蓮狐姉妹のお茶会。【新連載】
- カテゴリ:自作小説
- 2013/09/28 23:06:30
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「――残念だけれど、貴女はもうこの世界にいらない人間よ」
神からの宣告。
九尾の女狐は知ったような顔で言う。
受け入れたくないとか、信じたくないとか。
そういうわけじゃなくて、ただ。
――謝りたかったんだ。
それだけなのに。
「っやだ……いやだああああああああああああああ」
慟哭の前に、女狐はひたすら、冷たい無表情のままだった。
*
夕焼けが水平線に沈む時、この場所は一面茜色に染め上がる。
それは紅蓮の炎にも似た色。
背の高い木々が一帯の山々を占め、とりわけ大きな山の頂上には周りの木々の生命力を全て吸い取っているのではないかと思われるほどに大きなクスノキがぽつりと立っている。
樹齢3000年はくだらないその木は、その地一帯を納める妖と歳が近い。
クスノキの他に、山の頂上にある張り出した岩がその下の海を見下ろしており、人々は古くからこの地を「お狐様の住む〝焔岬(ほむらみさき)〟」、と呼んでいた。
「妖糾(ようき)姉様、本当に行かれるんですか?」
少年にも似た少し高い声は彼女にそう問うた。
二人の女狐のシルエットが、夕日に照らされ長く伸びていた。
もう一人よりも10センチほど背の低いほうの人物は、淡い水色の髪を腰くらいにまで伸ばし、それを肩の辺りで緩く結っていた。
「……、」
妖糾と呼ばれたほうの人物は、豊かな白い九本の尾を生き物のように揺らして、クスリと笑って立ち止まる。
頭頂部に均等な間隔を空けて生えた白い狐の耳がピクリと震えた。
吹かした煙管から紫煙をくゆらせ、振り向いた横顔は作り物のように美しい。
白い肌、血のような紅い右目と、包帯で覆われた左目。
紅を塗ったわけではないのに艶やかな薄い唇は淡い桜色。
巫女の着る緋袴を女性的な身体に纏い、胸元にかかる髪は雪のように白く、毛先は軽く渦を描く。
目にかからない程度に揃えられた前髪の下で、右目が妖艶に細められる。
「ええ。大丈夫よ、へまなんかしないわ」
微笑んだ口元からのぞく鋭い犬歯。
有無を言わせぬ長女の一言に、三女は黙るしかなかった。
「留守は頼んだわよ、翳籠(かげろう)」
苦虫を噛み潰したような顔をしてむくれる翳籠(三女)は渋々「はい」返事をし、颯爽と黒漆の下駄を鳴らし去っていこうとする妖糾を見送った。
狐の耳と九本の尾が不安げに小さく震える。
だが、彼女はあのままの恰好で行くつもりだろうか?
たかだか人間ごとき目ではないが、土地神となればその妖力は莫大だ。
霊感が強い人間に限らず、その姿はどの人間の目にも映ってしまうだろう。
現代には〝警察〟などという組織もあるようだし、騒ぎを起こされては――……それに言っては何だが、彼女には少し世間知らずなところがある。
自分の力を使えば妖糾姉様に気づかれずについていくことだって――、
「何を考えてるかわかるわ、翳籠」
「ふえっ」
思わず可笑しな声が喉から出た。
妖糾は再び目の前にまで戻ってくると、
「姉が信用できない?別についてきたって構わないのよ。紅翅(くう)も居るし、あの子が居れば大丈夫でしょう」
「……随分信頼なさっているんですね」
「貴女は心配性ね、昔から」
吐き出された紫煙が耳の先をくすぐった。
つ、と突き出された白魚のような指先が、彼女と揃いの緋袴の胸元をつつく。
胸板は彼女と違って貧弱だ。
「いらっしゃいな。いざという時は千秋(ちあき)だって居るわ。あの子は五女(千秋)には懐いてるしね」
そう言って目線を向けたのは、二人の背後に立つ天空をも突き破らんばかりに巨大なクスノキの中腹。
葉の減ってきた枝(といっても太いが)の1つに、楽しげに談笑する少女たちの姿がある。例にもれず、その姿は九尾の白狐。
「……妖糾姉様がそれでよろしいのなら」
「よろしいわ。さ、行くわよ」
半ば強引に手を引かれ歩き出すと、慌てて彼女に現代の人間の服装を早口で話した。
〝女子高生〟と呼ばれる階級の人間にとりあえず化けることを進めると、存外に彼女はその〝セーラー服〟というモノを気に入ってくれたようだった。
*****
三年も経って、今さらになってなんとなく彼女たちを題材に小説なんか書いてみました。
暇つぶしなので連載が続くかはわかりませんがね。
久々の小説で手直しが多かったです。時間かかった。
読みにくくなってやしないかと不安ですが、とりあえずここまで。
では。
あまり期待なされるなよ!
姉妹だから女子しか出てこないせいで
ガチレズ小説だと勘違いされやしないか糾さんはビクビクしてるんだから!←
うぃーwwww頑張るwww
めっちゃええなあ!ええなあええなあ!!!
続きwktk!!!!w
妖糾姉様です(/ω\)
ほんとに今さらだけどねー(´-ω-`)
みんな出てくるよ!
人間の女子高生に化けた姉様萌えるわーとか勝手に思っただなんだ……
が、頑張る(´゚д゚`)
流石糾!設定深いねー!
翳籠も懐かしい^q^
あ、最後のセーラー服はちょっと笑ったよw
続きを全裸で待機しまするノノ