Nicotto Town


なのこのこ


観察ヒューマン1の2


 「好みとかは無い。あいつらがなにか揉めているから、、、。あぁ、やっぱり。」
圭は玲グループの方を見て言った。さっきと空気が変わっていた。何が起きたのか分からない。けれど、野口千夏(のぐちちか)が誰かとモメているようだ。野口と喧嘩になると色々めんどくさいようだ。やつは、玲に信用されていて、裏のリーダーだ。喧嘩になると相手は、玲グループから一週間は、無視などされてしまう。
―――女子って大変だな。
 「あっ本当だ。まあ、モテ男の敦くんが行けば、解決するんじゃなぁい?てか、さっさと行け~~!」
総一が敦を少し睨んで言った。バカか。まあ、敦を使うのはいいことだ。
 「押すなよ!あぶないだろ~。まあ、行ってくるわ!」
―――モテ男は、否定しないんだ。そらそうだわな。
モテ男の敦は、こっちを向いて少し怒った感じを出しながら、爽やかに総一に返事した。
 「いってら~。」
 「おう!」
敦がそう言ったと同時に、玲グループから一人飛び出してきた。何が有ったのかもわからない。とっさに、敦がそっちに行こうとした。
―――馬鹿なやつ。
俺は、叫んだ。
 「敦!追いかけるな!お前が行くと色々めんどくさい。お前はそっち!」
圭は、玲たちの方を指差して言った。
 「えっ?!あっうん。」
敦は、圭を見て答えた。走って、玲グループの方へ行った。周りのやつは、誰も追いかけようとしない。
―――これは、俺が追いかけるべきか?
 「ねぇ。大丈夫かな?圭君」
声をかけて来たのは、桃木藍夏(ももきあいか)だった。こいつは、二番グループのリーダーだ。ここは、藍夏に頼むか、、、。
 「お前、さっき出て行ったの誰だった?」
 「えっと、弥生ちゃんだと思う。中野弥生。」
 「お前そいつを追いかけてくれ!!」
藍夏なら行ってくれるだろう。そう思ったが、なぜか躊躇っている。
 「えっ?!なんで私?圭君は行かないの?」
 「女子トイレに入られたら俺には、どうしようもないだろ。」
まだ、躊躇っているのか。もういい。
 「俺も行く。その代わり、お前もこい!それでいいだろ。」
なぜ、こんなにやる気が出てるかは自分でも分からない。面白いからか?そんなこと今考えることではない。とりあえず、中野ってやつを探しに行かないと見失ってしまう。
 「行くぞ!走れ!!」
ぼーっとしている藍夏の手を引いて走る。
教室から出ると、びっくりしたように立っている5年らしき子が居た。
 「走って行った子いただろ、どっちに行ったか分かるか?」
 「えっと、北階段に行ったよ~。」
ほう、そうか。ってことは、、、。
 「ありがとう。」
俺と藍夏は、走って北階段へ行く。俺たちの教室が有るのは、4階だ。1階下が中学年となっている。2階が1,2年の居る階だ。職員室などの教室があるのが1階だ。
 おそらく、中野弥生(なかのやよい)が居るのは、1階だろう。階段を勢い良く俺たちは人とぶつかった。やはり昼休みだ。人が多い。北階段は、ほかの階段よち人は少ないが、走りにくい。一階に行くにつれ、人が居なくなった。
 「居るか?」
藍夏は、運動部だけあって疲れてない。
 1階の階段横には、ちょっとしたスペースがある。中野はそこに居るはずだ。そこは、人に見つかりにくい。
 「藍夏。こっちこい。」
藍夏にささやいた。藍夏は静かにこっちに来た。やはり、、、
 「弥生ちゃん!!!ここに居たんだ~!玲ちゃんたちと何かあったの?」
ナイス藍夏!こいつを連れてきて良かった。
 「桃木さん、、、。なんで、分かったの?」
階段横から出てきた中野は、目を真っ赤にしていた。これはよほどの事があったのだろう。っと、皆は思うだろうが、こいつはすごく泣き虫だった。でも、普段は教室の中で泣いている。けれど、今回は違った。一人で教室を出て行ったのである。
 「ちょっとね。」
藍夏はそう言ってこっちを見た。
 「あ~、笹木君か、、、。」
中野はそういってまた座って下を向いた。
 「弥生ちゃん大丈夫?」
そう言って中野の横に座り込んで背中をさすっていた。
 「う、、、ん」
 「玲ちゃんたちと何かあったの?」
 「うん・・・。」
長い話になりそうだ。俺は、階段の手すりにもたれた。今は何時だろうか?確か、教室を出たのは1時15分ぐらいだ。昼休みは30分までだ。
 「喧嘩??」
 「うん。でも悪いのは私だから、、、」
中野はそう答えた。
―――自分が悪い?お前はそんな事言うやつか??
いつも静かに舌打ちしてるくらいの中のだろ。女子同士での揉め事なんて、高が知れている。だが、言ったように中野がそういう揉め事になるような事を言うやつではないのだ。けれど、中野は『自分が悪い』という。何があったのだろう。藍夏に中野への追求は任せる事にしよう。いきなり俺に聞かれたら、何もいえないだろう。
 「『私が悪い』?弥生ちゃん何かしたの?」
やっぱり、藍夏は頼りになるな。
 「なにもしてない。けど、ちょっと文句言っちゃったんだよ。玲ちゃんがみゆちゃんにいやがらせしてたから、、。」
 「そっか~。みゆちゃんと仲いいもんね!でも、弥生ちゃんは悪くないよ!嫌がらせしてる玲ちゃんたちが悪いよ!」
そう。中野は青樹みゆ(あおきみゆ)ととても仲がいい。青樹は、玲グループで肩身を狭く隅にいる子だ。俺は、こいつを観察するのが面白いと思っている。だが、正直青樹を面白がるのは、ちとひどいかもしれない。慎むべし。
 「そう?でも、自分だけが傷付いてるだけだし、私がバカだったんだよ、、、。」
中野はそういって、また泣き出した。
あざ、やっぱりそういうことか。こういうのは、敦に任せた方がいいか。だが、それをすると、そのときは解決したとしても、絶対元には戻らない。そのあとは、嫉妬の渦だ。敦にかばってもらった、だの、女子のめんどくささ全開だ

 「そんな事ないよ!だって、、、」
だって、なんだ?やっぱり、藍夏も女子だな。そこは、どうにも曖昧になるようだ。
 おそらく、喧嘩は収まらないだろう。そうなると、中野を孤立さなければいい。けれど、どこのグループに入るか。それが問題だ。だが、それは俺にはどうにも出来ない。これは、女子の問題だ。藍夏に任せる事にしよう。
ずっと泣いてる中野を見ていると少しイライラする。
 「私が全部悪いんだよ~。」
ずっと、これを言っている。すると、藍夏が立ち上がった。
 「あ~~。もう!だからなんで、そういうこというの?!弥生ちゃんは悪くないよ!ホント、なんでそういう事言うかな~??私には、分かんないよ!」
藍夏が怒ったと思ったら、「は~」と溜め息をついた。少し怖い。
 「そうかな?」
 「うん!!そうだよ!弥生ちゃんは、絶対に悪くない!保障するよ!」





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