Nicotto Town



水物(みずもの)

水惑星の旅
 椎名 誠
  新潮社

水の惑星、青い星などと呼ばれる地球。
だが、その大半は「鹹水(かんすい≒海水)」

本書によると、地球が直径1メートルの球だとした場合、地球の表面は2畳ほどの広さ。
そのうち1畳半弱が海
海の深さは平均0.3ミリほど
海水は全部で約660cc
淡水は17cc。そのうち12ccが氷の状態になっている。液体として流通しているのは5cc

本書は椎名誠率いる取材チーム(といっても数名だけ)による淡水化装置、健康と水、雨水利用、ダム等の問題に関してのルポルタージュ。

個人的には"椎名誠"というとすぐ「あやしい探検隊」シリーズを連想してしまうが、かなり「硬派」な内容。

「あやしい探検隊」などでの無人島のキャンプの経験から、水の大切さは、身に沁みていたが、世界的な水問題に関しては無頓着であったらしい。

そのため、素人目線からのアプローチで、重いテーマであるが読みやすい。
ただし、それがために広く浅い「入門編」でもある。

先日、台風が連続して、やって来たので、「水」にはウンザリしている気持ちもあるが、世界の乾燥地帯からすれば、日本は「黄金の国」に見えるだろう。
世界では、水は国境紛争の原因にもなるし、国際的な大企業の「商品」にもなる。

(一般的に)日本は水に恵まれている(しかも飲料水や料理に適した軟水)だけに、水に関する問題に鈍感
日本各地で水源地やその周辺の土地が外国企業に買われている、というニュースが時々、流れるが、扱いはあまり大きくないし、水道事業を外資に委託しているケースもある。

ただし、かくいう自分も鈍感な人の一人。

著者が分かりやすい資料の一つとして挙げられていたのが、ナショナルジオグラフィック2010年4月号
ほぼ1冊丸々、「淡水」をテーマにした号だが、本書の中で言及されるまで、忘れていた。
しかも、ただ読んだだけでなく、しっかり感想まで書いていたのに・・・。

ギクリとしたのは、川の枯渇により干上がった「さまよえる湖」ロプノールを例にした次の一文。
(ちなみに著者自身、1988年の「日中共同楼蘭探検隊」に参加している)

「川の枯渇というのは"都市"や"文明"をいとも簡単に確実に滅ぼしていく。」

人間の歴史は"治水""灌漑"などの「水の利用方法」の歴史でもあるが、ウマい利用方法を考えておかないとならないのだろう。
「湯水のごとく」という言葉が"じゃんじゃん使う"から"大事に扱う"という意味に変わったりしないように・・・。

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2013/11/04 22:26
>七条、姫さん
まずは「水は資源」という認識から始めなければなりませんね。
自分を含めて・・・。

>カトリーヌさん
この本にもありましたが、水を引っ張ってくる話ばかり先行して、「土壌」の話が抜け落ちていますね。
日本だけでなく、世界的な傾向として。
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2013/11/04 22:01
そういえば、
世界第2の湖だった、アラル海も干上がってしまい、地図から消滅してしましました。
中国も長江の水を、北京にまで引いてくるという壮大な計画を立て、
巨大なダムを作ったけど、あの顛末がどうなることやら・・(汗)。

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2013/11/04 12:09
そうそう、「湯水のごとく」は日本と中東では意味が逆になるのでしたよね~
淡水は大切な資源ですから○国等に山林を安易に売り渡せませんよね(^_^;)



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