秋の終わりに
- カテゴリ:小説/詩
- 2013/11/11 09:07:09
都会から離れた小山のうえに
あなたと行ったわね
もう小寒になった春の日に
木々も寒くなった晴れの日に
秋を見つけに行ったわね
「ちゃんとコートを着ておいでよ」
そんな一言を守りながら
坂道を歩いたわね
「ほらご覧、春の日を待っているんだ」
もう冬の準備をしながら
車に戻って
ポットの温かいコーヒーを飲んだわね
暖かくなるのは
心身だけじゃなくて
心まで温かくなったわね
山道を下って
すべるように走る車
しんみりとした曲を聴きながら
心がとろけていく
あの瞬間が嬉しい
冬を過ごして
春になる頃
もう一度ここに来たい
あなたの腕につかまって
小山の道を歩きたい
「また来ようね」
その一言が嬉しい
寒くなんかない心
暖かくなるのを待って
街にと帰っていく