今朝の夢。
電車の中、高校生ぐらいの時におなじみの電車だった、川越線だ。
だが仕事の帰りだったか、パソコンをしている。
電車の中なのに、デスクトップなのが不思議だ。以前つとめていた印刷関係の会社の仕事らしい、入力とか。机もある。電車のなかというよりも、会社と電車が混在している。
電車のドアがあくと、飼っていた猫のベベがホームにいた。
べべは１９年も一緒にいたが、今はいない。
サビ猫だったが、このべべはなぜか赤白斑だ。あたまをなでる。
どうも電車といっしょに、というか電車をおいかけているらしい。ドアがしまった。
また電車で仕事していたら、高校の時の友人のＴ子から携帯電話に電話が。
電車の中なので声をちいさくする。今から会えないかという話らしいが、
ともかく電話を切らないといけないような気がして、あと１０分したら電話してくれる？と小声で言って電話を切る。
だが次の駅のホームに、彼女はいた。これから喫茶店でも行こうという。そしたらべべもまたやってきた。最初に見かけたとき、進行方向の左側のドアがあいて、そちらのホームにいたが、この駅のホームは逆側の右だ。べべが反対側にいることがなぜか気にかかった。そして、この駅で降りて、彼女と行ってしまったら、私を追ってきたべべは、迷子になってしまうかもしれないと思い、捕まえることにする。すんでのところで逃げるとこだったが、首ねっこをおさえて捕まえることができた。べべを抱きかかえながら、Ｔ子に言う。
「ほら、今日は私を追ってきたからさ、いつもなら、ここらへんまでひとりで遊びにやってきていて、二三日帰ってこない時もあるんだけどさ、迷子になっちゃうかもしれないから、わるいんだけど、べべと一緒でいいかなあ。」
Ｔ子は、快く了承してくれる。「うん、ほんとはここらへんの喫茶店でと思ったけど、じゃあ、いっしょにあんたの家のほうまでいこう。」
抱っこしてたはずのベベだが、エジプトの猫の置物みたいに、前足をのばし、後ろ足をおりたたんで、すっくとして、頭を上にむけている。その顔は、ものすごく幸せそうだ。目をとじて、笑みすらうかべているみたいに。Ｔ子が、幸せそうだねえ、でもなにしてきたのか、なにがうれしいのかわからないねえ、と、頭やのどをなでる。わたしは幸せそうな顔をしている彼女をみて、なんとなく、これだけでいいと思っている。こんなふうな顔をしていてくれれば。夢みるような顔、目をとじて。なんとなく、べべが何かをしているのか、ではないが、べべの何かがわかったような気がしていた。たぶん、その表情は仙厓さんの絵とかのイメージだ。センガイさんの絵とかのイメージだ。
その夢の中のべべは模様がちがったけれど、自転車のわたしを見つけて、どこからともなく現れたときや、窓から部屋にはいってくるときの姿が見出された。
そういえば、その日の別の夢で、こんどはほんとうにベベの模様、サビ猫模様のベベが、窓の外にいた。いくぶん雨かなにかでぬれていたので、なでて、家にいれてやった。いつもの夢の中のべべよりも、元気だと思った。ちなみにこの家は、どうも小学生の頃に住んでいた家のイメージだ。細い通路しかないような庭で、パパがたくさんの植木を育てていたあの庭のイメージだ。

ベベはそう、今はいない。でも、夢の中で「二、三日帰ってこないときがある」と言ったとき、なぜか、夢の中で二三日おきに彼女に会っていることを指しているような気がした。起きているときは忘れているだけで、夢の中ではしょっちゅう彼女に会っているのではないか。そんな気がしていたのだ。実際そうなのかもしれない。
Ｔ子とは、２０歳を境にして、会っていない。わたしが行方不明扱いになっているので、どこでどうしているかもわからない。風のうわさで、ごく普通の結婚をしたと聞いたことがあったけれど。

べべはやっぱりまだわたしのなかで生き続けてくれている。

ところで、今日、外まわり仕事をしている途中、白黒斑、ホルスタイン柄の猫くんにまた会った。うしくんと呼んでいる。いつも９丁目１０番地にいるのだ。めずらしいぐらい人なつこくて、触らせてくれるばかりか、ぺろぺろ指やら手をなめてくれる。わたしの姿をみとめると、こちらに近づいてきてくれた。覚えてくれているのだろうか、まさか。けれども、べべの夢をみたあとで、彼女にあえたことは、なにか、符牒のようで、うれしいことだった。べべが引き合わせてくれたようでもあった。
うしくんは、外にいるのに、毛並みがいい。やはりどこかでだれかに大事にされているのだろう。